2019 Fiscal Year Annual Research Report
アパレルの国際市場拡大に向けたユニバーサルな個別対応衣服設計システムの構築
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19H01614
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大塚 美智子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (30233183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 敬子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80369652)
諸岡 晴美 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40200464)
持丸 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究センター長 (90358169)
滝澤 愛 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (20512437)
武本 歩未 日本女子大学, 家政学部, 助教 (70631993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体形 / ラグビー選手 / 3D計測 / 手計測 / 着装シミュレーション / 製図法 / 障碍者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は特に特定の部位が発達しているため一般の人と体型が著しく異なるラグビー選手を対象に詳細な体型分析を行い、特徴的な体型にフィットさせるパターン設計法について検討した。 大塚と武本は18~35歳の現役ラグビー選手27名の手計測と3D計測を行い、比較データとして日本人成人の人体寸法データベース2014-2016より18~35.9歳の一般成人男性52名の3D形状を用いて、体幹部・上腕部の平均形状を作成し詳細な体型分析を行い比較検討した。ラグビー選手群と一般成人群の計測値は胸囲やアームホールをはじめ多くの周径項目と肩傾斜角度において有意差が認められた。胸度式平面製図法によりラグビー選手の平均形状の原型パターンを作成して着装シミュレーションを行い原型のフィット性を検証したが、胸度式平面製図法ではラグビー選手の体形にフィットする衣服パターンは得られなかった。そこでラグビー選手体型の体型特徴を反映させる身体角度などを加味して着装シミュレーションした結果、適合性の高いパターンを作成することができた。 また渡邉はスポーツマンの特徴的な体つきを捉えるために、大学生のラグビー選手26名に対して手計測と3D計測を行った。手計測では、短寸式の型紙製図に用いられるような部分の寸法を計測した。一方、3D計測から部分寸法算出し手計測の値と整合性を検証し、より高い精度での算出の定義を明らかにした。 また諸岡と渡邉はアスリートの身体負荷軽減効果をもつコンプレッション型ランニングタイツの圧設計を導出することを目的として、タイツの圧強度および圧分布が筋電図、心電図、呼吸機能に及ぼす影響から、市販のCp型タイツの課題を明らかにし、これらの研究成果を踏まえ、3Dデータからパターンを作成し、筋負荷軽減や身体負荷軽減の観点から疲労軽減型ランニングタイツを試作して検証実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、①今まで大量生産を前提に見過ごされてきた特徴のある体型の人々について骨格などに基づくランドマークを付け、精度良いデータを収集する、②精度の高いポリゴンデータを生成して、現有の1500人分のデータと比較してその特徴を明らかにする、③衣服の型紙設計の観点から分析して、体つきの特徴を反映したパターン作成・修正の理論や手法を開発することである。 2019年度は、前述した目的を達成するために、まず、大塚・渡邊・滝澤・武本を中心に、ラグビーやアメリカンフットボールなどのスポーツ選手100名程度を対象に人体計測を行う予定であったが、実業団所属のプロラグビー選手27名(大塚と武本)と学生ラグビー選手26名(渡邉)の計測を実施した。この他に大塚・武本はボディビルダーなどの筋肉発達男性12名、オリンピアン5名についても計測を実施したため計70名のデータを採取できている。採取したラグビー選手の3Dデータの相同モデル化を行い、ラグビー選手と一般男性の平均形状を作成して、現有(2014-2016データベース)の同年代の一般的日本人成人男性との体型比較を行った。これにより目的の①、②の基礎研究は達成できたと考えている。さらに体型比較のみならず、ラグビー選手体型におけるパターンメーキングのあり方を検討し、大塚と武本は国際学会などでその結果を報告した。したがって目的の③の基礎研究も達成できている。さらに本年度は下肢に障碍のある被験者を中心に人体計測法の検討を行う予定であったが、本研究分担者のほとんどが委員となっている日本繊維製品消費科学会のオリンピック・パラリンピック勉強会で、下肢に障碍者のある人の計測実績のある雙田氏を講師に迎え障碍者の計測に関する勉強会を開催するにとどまり、障碍者の計測法の検討については予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は53名のラグビー選手の計測を行うことができた。今後も可能な限りデータを増やしていくが、現有のデータを詳細に分析することで筋肉の発達した特徴的な体型の分析については充分検討可能であると考える。今後はさらに、あらゆる人の体型にフィットさせるために、特定の姿勢や体勢における3Dデータの採取が不可欠である。そこで、本年度は座位姿勢についても検討する。 まず大塚、武本は、ラグビー選手のような上腕の筋の発達した体型では腋下が相当低い位置にモデル化される問題があるため、腋下位置や股下位置を適正に表現できるモデル作りに取り組む。これには大学院生の協力を得て、女子学生を対象にさまざまな姿勢をシミュレーションして3D計測では欠損が著しい部位についてハンデースキャナーを用いて正確な計測を行う方法を検討した上で、従来の計測器により採取された関連部位の計測結果の修正法を持丸とともに検討し、ISOの立位姿勢によって計測された3Dデータに反映させるための基礎研究を行い、ラグビー選手のデータに適用することを試みる。同時に滝澤を中心に2019年度に採取したラグビー選手の体型の特徴をポジション別に検討する。 また座位姿勢による計測については、大塚と武本は、全とともに行った座位計測法の見直しを行い、3D計測法による座位形状採取法の改善を行う。座位姿勢では座面や鼠径部など計測不可能な部位も多く出現するため、障碍者の3D計測については、本年度は障碍者の計測実績のある日本女子大学学術研究員の雙田氏の協力のもと、渡邉、諸岡は、とくに車椅子利用者の座位姿勢における腰部形状の採取を試みる。 さらに2019年度に新しいスキャナーを導入したため、これまでのスキャナーによるデータとの整合性を得るため、浜松ホトニクス社製スキャナーで採取されたデータとの比較検討を行い補正のための統計手法を検討する。
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Research Products
(11 results)