2020 Fiscal Year Annual Research Report
アパレルの国際市場拡大に向けたユニバーサルな個別対応衣服設計システムの構築
Project/Area Number |
19H01614
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大塚 美智子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (30233183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 敬子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80369652)
諸岡 晴美 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40200464)
持丸 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究センター長 (90358169)
滝澤 愛 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (20512437)
武本 歩未 日本女子大学, 家政学部, 助教 (70631993)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 体形 / アスリート / 三次元人体形状 / 3DCAD / モーフィング / 着装シミュレーション / パラリンピック |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ感染症の影響はあったものの、渡邊は手計測を少し減らし、時間の間隔をあけて消毒を徹底し、京都大学のアメリカンフットボール選手37名の計測を行った。昨年のラグビー選手のデータと併せると筋肉の発達したアスリートの三次元データを90名分採取できたことになる。 大塚と武本はコロナ感染拡大を配慮して新たな計測は見送ることとし、3DCADによる衣服パターン設計の基礎となる三次元姿勢人体形状データからの自然立位形状の推定を現D1の横尾の協力を得て試みた。「日本人成人の人体寸法データベース2014-2016」により、成人女性72名分の三次元人体形状データを使用し、自然立位形状の推定はモーフィングにより、自然立位姿勢及び三次元立位姿勢の平均形状間の空間距離を算出して作成した。さらに両姿勢の体表面展開パターンから寸法を計測し、自然立位姿勢のパターンを推定する推定式を導出した。本手法が特徴的な体型のラグビー選手などのアスリートにも応用可能か否かについては検証する必要があるが、応用のための基礎的手法は確立できたと考えられる。 持丸は人体の三次元計測精度の検証方法について立位姿勢の影響などについて検討を行い、その成果を、ISO TC133で議論されている国際標準DIS 20947-1に反映した。また、フォーラム標準としてIEEEで進められている3D Body Data Processingにもその一部を反映した。諸岡は、パラリンピック競技の一つであるゴールボール用のプロテクター付きパンツの設計指針を導出することを目的として、圧衝撃緩和性に優れるゴールボール用プロテクター素材について検討した。素材の異なるプロテクターとして10mm厚の試料を収集し,その圧縮特性および圧衝撃緩和性を測定した。また、ゴールボール競技者を被験者として着用実験を行い、床面に着地した際の腰部での接触圧から圧衝撃緩和性に優れるプロテクター素材を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた人数をやや下回るものの、2020年度までに特定の筋肉が発達しているために特徴的な体型を示すアスリート90名分の三次元人体形状データを採取することが出来た。また大塚、武本は、ラグビー選手のような上腕の筋の発達した体型では腋下が相当低い位置にモデル化されるという問題があるため、アスリートを被験者として計測方法とデータの分析方法について検討する予定だったが、姿勢を変えた計測を行う際は分析に用いるランドマークを人体に添付する必要があり、その際に人との接触を避けることが出来ず、狭い計測室では密となるため、本年度は被験者による実験が困難だった。しかしそれにかえて、JSPS科研費JP25242010によって構築した日本人成人の人体寸法データベース2014-2016による検討を行った。一般女性のデータを用いて三次元立位人体形状から自然立位姿勢人体形状の推定過程で、腋下位置や股下位置を表現できるモデル生成法の検討を行うことが出来たため、概ね目標は達成できたと言える。 一方、障碍者の衣服設計のための座位形状の計測は前述と同様の理由から、新たな計測を行うことが出来なかったため予定していた解析を進めることが出来なかった。よって(3)やや遅れていると判断した。しかし諸岡はパラリンピック競技の一つであるゴールボール用のプロテクター付きパンツについて三次元人体形状データからパターン設計を行い、設計指針を導出し、予定通りその効果検証も行ったため、障碍者のスポーツウェア設計については着実に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は採取した90名のラグビー選手とアメリカンフットボール選手の三次元人体形状データの詳細な解析とパターン設計法を提案する予定である。2019年度にすでに大塚と武本らが27名の実業団ラグビー選手の三次元人体形状データの解析とパターン設計法を提案しているため、本年度はそれに基づきパターンの実用化まで検討を進める。また渡邊は大学生ラグビー選手26名とアメリカンフットボール選手37名の計63名の三次元人体形状データを分析し、三次元人体形状データからのパターン設計法の詳細を検討する。今後はさらに、あらゆる人の体型にフィットさせるために、特定の姿勢や体勢における三次元データの採取が不可欠であるが、新規被験者実験のためにはコロナ感染症の収束が待たれる。本年度は外部被験者による実験が困難な可能性があるため大塚、武本は昨年実施できなかった女子学生を対象として、D1の横尾の協力を得てさまざまな姿勢をシミュレーションして3D計測では欠損が著しい部位についてハンデースキャナーを用いで正確な人体形状を捉える方法を検討する。障碍者についても被験者実験が困難な場合は健常者により障碍者の姿勢をシミュレーションし、座位姿勢の形状解析法の検討を進めていくこととする。検討結果に基づき、先行研究を参照して車いす利用者のためパンツ設計提案まで行いたいと考えている。 諸岡は2020年度に生体負荷軽減効果をもつコンプレッション型ランニングタイツの三次元人体形状データからのパターン設計を行ってその効果検証を実施したが、本年度はこの詳細検証を行うと同時に、医療用X線防護衣の身体適合性についても研究を進める予定である。
|
Research Products
(20 results)