2021 Fiscal Year Annual Research Report
アパレルの国際市場拡大に向けたユニバーサルな個別対応衣服設計システムの構築
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19H01614
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大塚 美智子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (30233183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 敬子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80369652)
諸岡 晴美 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40200464)
持丸 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究センター長 (90358169)
滝澤 愛 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (20512437)
武本 歩未 日本女子大学, 家政学部, 助教 (70631993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三次元人体形状 / クラスター分析 / バーチャルボディ / ジェネリックデータ / ユニバーサル仕様 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はラグビーおよびアメフト選手の追加計測を行い、一般男性との体形比較を行った。また、姿勢変化を想定した三次元人体形状推定のための基礎研究を進めた。 渡邊はラグビー及びアメフトトップリーグチームの選手全員と元選手スタッフの計57名を対象に手計測と、三次元計測を行い、3D人体形状データからHBM-Rugleを用いて頸部からヒップの高さまでの体幹上部の相同モデルを作成した。研究対象となるアスリートの体形を分類するために、HBSによって主成分分析を行い、その主成分得点を用いてWard法のクラスター分析を行った。さらに、一般男性とラグビー・アメフト選手の体形の違いを明らかにするために、一般男性100名、大学生ラグビー・アメフト選手、トップリーグ選手各50名の計200名分のデータで分析を行った。クラスター分析の結果、一般男性のみ、トップリーグ選手のみのクラスターが存在し、両者の体型の差異が明確になった。 大塚と武本は昨年度に引き続き、さまざまな体形のバーチャルボディの生成のために,人体の手計測データから三次元人体形状の推定を試み,その精度を検証した。若年女性76名の自然立位、動作姿勢の三次元計測を新たに採取し、動作姿勢を伴う三次元人体形状の相同モデル化のためのジェネリックデータを作成し、その精度検証を行う段階に入った。 諸岡は自律性体温調節が難しい高齢者や脊損・頚損者などのためのユニバーサル仕様の冷却ベストおよび冷却帽子を製作し、37℃40%RH(WBGT30℃)に設定した人工気象室内で、直射日光をシミュレーションした実験を行い、生理生体反応からクーリング効果を検証した。また、歩行動態および筋電図の解析を通して、歩行アシスト型のハーフレギンスのための設計指針を明らかにした。さらに、5本指靴下の歩行安定性についても、足圧分布測定およびCOP(足圧の重心)軌跡等から検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた人数は下回るものの、2021年度までにラグビーおよびアメフトトップリーグチーム100名分の三次元人体形状データを採取することが出来、アスリート特有の体形特徴を明らかにすると同時に、一般男性との体形の比較を行うことができた。 具体的には、渡邊はトップリーグ選手の上半身の主成分分析の結果、「体の大きさ」「体幹上部の前傾・後傾」「肩・胸部の形状」「体幹の左右への傾き」「高さとなで肩・いかり肩」「反・屈身と後肩・前肩」「なで肩・いかり肩」「体幹の厚み」「太り・痩せ」の主成分を抽出した。このうち歪みと高さに関係する第4・5主成分を除いた7つの主成分得点でクラスター分析を行い、5クラスターに分類した。ポジションごとにクロス集計を行ったところ、筋肉の発達した体の厚いクラスター5と1にはフォワードの選手のみが分類された。一方、一般男性や学生選手とともに前述と同様の分析を行った結果、一般男性のみ、トップリーグ選手のみのクラスターが存在し、両社の体型の差異が明確になった。 また大塚は、JSPS科研費JP25242010によって構築した日本人成人の人体寸法データベース2014-2016による体型分析をさらに深め、武本は浜松ホトニクス社製のBodyLineScannerを使用し、若年女性76名の三次元計測を行った。計測姿勢は、自然立位(上肢自然下垂時)、および前額面における上肢外転(0°,20°,45°,90°,135°)の姿勢である.これにより若年女性76名の動作姿勢を伴う三次元形状の相同モデル化のための、ジェネリックデータを作成し、その精度検証を行うに至っている。 諸岡は障碍者のための衣服のクーリング効果や歩行アシストおよび歩行安定性の検証を行い、成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究の最終年度となるため、渡邊を中心に2021年度までに採取した100名のラグビー選手とアメリカンフットボール選手の三次元人体形状データのさらに詳細な解析を行い、筋肉の発達した異体型の人のための実用的なパターン設計法を提案する。 大塚と武本はこれまでに、採取した27名の実業団ラグビー選手の三次元人体形状データによる平均形状の体表面展開を行い、筋肉が発達したアスリートのパターンの特徴を明確化したが、本年度はあらゆる人の体型にフィットさせるために、特定の姿勢や体勢における3次元データの正確な推定法を確立し、異体型の人の体形に適合するパターン推定法を導出する予定である。特に筋肉の発達した人は、自然立位における正確な三次元形状を採取することが難しく欠損が多くなるため、昨年に引き続きD2の横尾の協力を得てさまざまな姿勢をシミュレーションして3D計測では欠損が著しい部位についてハンデースキャナーを用いて正確な人体形状を捉える方法を検討し、四肢を開いた三次元姿勢データからの自然立位姿勢の衣服パターン推定法を検討し、異体型の人のパターンメーキングに応用したいと考えている。 諸岡は2021年度までに生体負荷軽減効果をもつコンプレッション型ランニングタイツの三次元人体形状データからのパターン設計、衣服の機能性付与、歩行アシストを可能とする衣服の開発検証などを進めてきたので、これらを総合して障碍者をサポートする衣服設計のありかたを提案する予定である。 また障碍者については車いす対応の衣服設計が大きな課題であるため、引き続き健常者による座位姿勢の形状解析を進め、先行研究を参照して車いす利用者のためパンツ設計提案まで行いたいと考えている。
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Research Products
(14 results)