2020 Fiscal Year Annual Research Report
労働法制改編に伴う教員の新たな勤務時間管理方策の影響と課題に関する調査研究
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19H01630
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
小川 正人 放送大学, 教養学部, 特任教授 (20177140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 泰彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70436450)
荒井 英治郎 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (60548006)
雪丸 武彦 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (60614930)
櫻井 直輝 会津大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (60785385)
神林 寿幸 明星大学, 教育学部, 講師 (70785279)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校の働き方改革 / 公立学校の業務量の適切な管理等に関する指針 / 在校等時間 / 時間外勤務の上限規制 / 給特法 / 労働安全衛生法 / 安全配慮義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、学校の働き方改革が始動して日が浅いため全国的な取組みの実情を実証的に把握することに努めた。第一に、先駆的で特徴的な取組みをしていると考えられる自治体へのインタビュー調査を行った(横浜市教委、北九州市教委、岩手県教委と県教組)。横浜市教委では、学校の優れた取組みや成果のある実践を把握しそれら情報等を「働き方通信」で情報発信したり、勤怠管理の庶務事務システムで各学校・教職員の勤務時間管理を把握し、45,80,100,150の各時間を超える毎にアラームが出て通知される仕組みでチェックするなど、教委がデータを重視したPDCAサイクルの基軸として取組んでいるのが印象的であった。又、今次の働き方改革では業務の見直し・軽減が重視される中で、教職員の安全・健康を重視し学校の安全衛生管理体制の整備や衛生委員会を働き方改革の推進組織として活用している岩手県の事例は大変興味深かった。働き方改革の独自課題として学校の安全衛生管理体制の整備に取組む重要性を確認できた。 第二に、全国都道府県&政令市の「働き方改革プラン」等を収集し整理、検討した。文科省による毎年度の「取組み状況調査」が行われていることもあり、「状況調査」で設定されている項目を網羅する形で各自治体の取組みの方向、方策が進められていることを確認できた。勤務時間短縮の年次目標や時間管理の取組み、働き方改革の具体的指標設定として、週当45時間以下の教員を何割にするといった指標の他、有給取得日数を何日増やす、ワークライフバランスが取れていると感じる教員を幾らまで増やす等の指標設定をする自治体が多いことも確認できた。そうした中で、教職員のやりがい(ワーク・エンゲイジメント)や抑うつ感等を加えた指標設定する(愛媛県)等の工夫も見られた。尚、設定された指標に基づいて、取組みの成果検証を行っている自治体は、まだ多くなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国都道府県&政令市の中で、先駆的で特徴的な取組みをしている自治体を可能な限りインタビュー調査して全国の働き方改革の進捗状況の実証的な把握とそこからの示唆をもっと得たかったが、コロナ禍の影響もあり、インタビュー調査も計画通りには進まなかった。その中の幾つかの自治体についてはオンライン会議で対応をして頂いたが、必要な情報、データ等を期待するほどには収集できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度と2020年度に実施した自治体インタビュー調査と各自治体の「働き方改革推進プラン」等から得られた知見をベースにして、学校レベルにおいて、働き方改革がどう取り組まれているのか等の実態把握と、働き方改革の下で教員の意識、行動等がどう変容しているのか等を実証的に把握し分析するために、2021年度は幾つかの自治体で校長と一般教員を対象にしたアンケート調査を実施する計画である。 そして、2020年度にコロナ禍で実施できなかった自治体へのインタビュー調査を可能であれば2022年度中に追加調査を行うなど補足的な作業をして、2019年度~2021年度の調査研究で得られた情報、データ等を踏まえて、2022年度にそれらをまとめる作業を行い成果を本として出版する計画である(出版は2023年度中で予定)。
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Research Products
(6 results)