2020 Fiscal Year Annual Research Report
縦断的調査による場面緘黙の実態解明と効果的な介入手法の確立
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19H01703
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
高木 潤野 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (00588519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 正義 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (00623563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 場面緘黙 / 不安症 / 実態調査 / 不登校 / 縦断的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
場面緘黙は主に幼児期に発症する不安症の一つで、話す力があるにも関わらず学校等で話せなくなってしまうこと(緘黙状態)を主症状とする。本研究は場面緘黙の実態を解明し、効果的な介入手法を確立することを目的にしている。 幼児期から中学生までの場面緘黙児を対象に、心理検査(場面緘黙質問票SMQ-R、スペンス児童用不安尺度SCAS、子どもの行動チェックリストCBCL、対人コミュニケーション質問紙SCQ)及び独自に作成した調査票(生育歴、家庭や学校での様子、対応方法等)によって不安症や発達障害の併存、不登校等の学校への適応状態、発症要因等についての評価を実施してた。また5年間の縦断研究により症状の変化と効果的な介入方法を明らかにすることを目指している。 2019年5月に調査実施の拠点となる相談室を開設しデータ収集を開始し、2020年11月までに計208組の場面緘黙児及びその保護者から回答を得た(幼児49名、小学校低学年63名、小学校高学年57名、中学生39名)。初年度に得たデータについては入力を完了し、分析及び論文執筆作業を行っている。 SMQ(場面緘黙質問票)の結果から、幼児及び小学校低学年では「園や学校」よりも「社会的状況」の方が得点が低い傾向が見られた、高学年及び中学生では「園や学校」の方が低い傾向が見られた。このため年齢によって緘黙症状の現れ方に違いがある可能性が考えられた。 また家庭での発話状況では、保護者の評価では「過剰だと思うくらいに話す」または「普通に会話ができる」のいずれかに該当したものが95.5%であった。一方中学生では「どちらかと言えば無口(23.7%)」や「話せない相手がいる(7.9%)」の割合が他の年齢群より高い傾向が見られた。保護者の多くは場面緘黙児を「家ではよく話す」と捉えていた一方で、中学生では家でも無口/話せない者が増加する可能性もあることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度中は新型コロナウィルスの影響を受け一部研究の進捗に遅滞が生じたものの、以下の理由から研究全体ではおおむね順調に進展していると評価できる。 1)データの収集状況:2020年度末までに、当初予定していた200名以上のデータを収集し、データ入力を終えることができた。2020年度には2年目の調査票を全対象者に郵送し、約80%回収が完了している。全対象者との面談に時間を要したが、2020年度中に必要な面談をすべて完了することができた。 2)データ分析及び論文執筆:データ入力作業のアルバイト人員の確保等の問題から時間がかかったため、データ分析の開始が遅くなった。現在研究チームの中で3つのグループでそれぞれ分析及び論文執筆を行っている。これらの成果として、2021年度中に3本以上の論文を執筆し投稿する予定である。 3)新たなデータの収集:研究の精度を高めるため、当初の計画にはなかった新たなデータの追加に着手することができた。現在第2期の協力者の募集を開始しており、今後更にデータを増やしていくことが期待できる。 4)オンラインによる面談の実施:当初データ収集の拠点として活用していた相談室を解約し、代わりにオンラインでの面談を導入した。これにより費用及び時間のコストを大幅に削減することができた。 以上のことから、研究の進捗に遅滞が生じている部分はあるものの、研究全体ではおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は主として以下の点を実施していく予定である。 1)データ分析及び論文執筆:現在研究チームの中で、3つのグループでそれぞれ分析及び論文執筆を行っている。2021年度中に3本以上の論文を執筆し、「不安症研究」「特殊教育学研究」等の学会誌に投稿する予定である。 2)3年目のデータの収集:縦断的調査として3年目に実施する調査の質問項目を検討し、調査票を発送する。データが収集でき次第入力及び分析を開始する。 3)新たなデータの収集:研究の精度を高めるため、新たに研究協力者を募集しデータを追加する。2021年度中に30~50件程度のデータを追加する計画である。また新たに追加したデータについてもすべて面談を実施する。面談は対面で行うことを原則とするが、状況に応じてオンラインでの面談も併用していく。 4)研究体制の拡充:初年度よりデータ収集を担当している心理士について、論文執筆の作業も分担し研究成果の発表を加速させる。また研究チームに新たに1名の公認心理師を加え、データの分析及び論文執筆の補助業務を担当させる。 5)研究協力者向けの研究成果の公表:主にデータを提供してくれている研究協力者に向けた研究成果の公表を行う。オンラインでの講演会形式で実施することを予定している。
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Research Products
(1 results)