2019 Fiscal Year Annual Research Report
認知的スキルと社会情動的スキルの統合的介入方策の開発と評価
Project/Area Number |
19H01756
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深谷 達史 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70724227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
山田 洋平 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (60735687)
栗原 慎二 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80363000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知的スキル / 社会情動的スキル / 統合的介入 / メタ認知 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近年教育界で注目が集まる認知的スキルと社会情動的スキルを高めるための介入方法を明らかにすることを目的としている。認知的スキルとは,知識や経験を獲得する心的能力,社会情動的スキルとは,他者との協働,感情の制御などに関するスキルとされる。本研究は,これまで別々に扱われる傾向にあった認知的スキルと社会情動的スキルを,一つの介入の中で統合することで,スキルを効果的に高める介入方策を明らかにしようとするものである。特定の学習行動に着目し,その行動を促すための個別的な介入方策を開発・評価するとともに,学校現場を含む実践的なフィールドで,様々なスキルへの介入を組み合わせた実践的研究を推進する。 2019年度は,特定の行動に対する個別的な介入方策を検討する研究として,2つの研究を行った。1つは,「他者に学習した文章の内容を的確に説明する」という行動をターゲットにした介入研究である(研究1)。小学6年生を対象に,文章を構造的に整理するという認知的スキルと,相手の理解を促すよう話しているメモを指し示すという社会的スキルを統合的に教授し,その効果を検討した。また,中学生に対して「失敗をふり返る」という行動を促すための介入研究も実施した(研究2)。 また,特定の行動を組み合わせた包括的な介入方策を検討する試みとして,高校生に対してSocial Emotional Learning(SEL)を実施する研究(研究3)とともに,貧困家庭に生まれた児童が暮らすフィリピンの養育施設をフィールドとした実践研究を行った(研究4)。後者の研究では,施設のスタッフに対して児童の愛着形成を促し自尊心を高める関わり方についての研修を複数回行った結果,学業成績の向上を含むいくつかの指標で効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もともと予定していたように,個別的な行動に焦点化した介入研究とともに,様々な行動に対する包括的な介入研究をそれぞれ実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に行った研究に改善を加えた研究を実施する。具体的には,例えば,小学生を対象とした研究1では,事前と事後のパフォーマンスの測定条件が異なってしまい,比較可能でないなどの課題があったため,その点などに改善を加える。ただし,新型ウイルスの影響で児童生徒を対象とした介入研究を実施することが困難となる可能性も存在する。その場合,遠隔通信の活用などできる限りの対処策を検討する。
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Research Products
(5 results)