2020 Fiscal Year Annual Research Report
Diapycnal transport from bottom boundary layers to interior waters over sloping topography
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19H01970
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 貴洋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10422362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 義正 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70631399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流混合 / 海底斜面 / Tidal straining / 乱流微細構造観測 / 三次元非静水圧モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年7月18~24日に東シナ海陸棚斜面域にて、長崎大学水産学部練習船・長崎丸による観測航海を実施し、乱流微細構造プロファイラー(TurboMAP)を用いて乱流運動エネルギー散逸率、水温・塩分、濁度を、前年度に運用試験を行った5ビーム超音波ドップラー多層流向流速計(ADCP)を用いてビーム方向流速を、それぞれ計測した。従来型ADCPの3倍のサンプリング周波数で計測したビーム方向流速に分散法を適用することにより、潮汐流の鉛直シアーによる乱流運動エネルギー生成率の鉛直分布を精度良く算出することに成功した。さらに、前年度に二次元・回転系で実施した非静水圧モデルkinacoによる数値シミュレーションを、三次元・回転系に拡張してtidal strainingによって海底混合層内で浮遊した懸濁粒子の正味の移動を計算した。その結果、三次元性を考慮した場合にも、粒径の小さい粒子は従来の研究で指摘されているように斜面を登る方向に移動し、粒径の大きな粒子は重力の影響が勝って逆に斜面を下る方向に移動することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測面では、前年度に運用試験を行った5ビームADCPを用いて、従来型ADCPの3倍のサンプリング周波数でビーム方向流速を精度良く計測することに成功した。その結果、平均流の鉛直シアーによる乱流運動エネルギー生成率の時空間変動を把握できるようになり、次年度以降に予定している、乱流運動がもたらす鉛直方向の密度フラックスの見積もりを計画通りに実施していく目処がたった。理論面では、前年度の二次元計算で得られた、Tidal strainingによって海底混合層内で浮遊した懸濁粒子の移動方向が粒径に依存するという数値シミュレーション結果が三次元計算においても確認され、次年度以降、サブグリッドスケールのパラメタリゼーションに対する依存性を検討することで、懸濁粒子の輸送量の正確な見積もりが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した乱流微細構造観測の結果を詳細に解析し、海底混合層内の乱流運動がもたらす鉛直方向の密度フラックスを明らかにする。次年度の夏季に予定されている長崎大学水産学部練習船・長崎丸の観測航海時に、東シナ海陸棚斜面域にて、TurboMAPを用いて乱流運動エネルギー散逸率、水温・塩分、濁度を、5ビームADCPを用いて乱流運動エネルギー生成率を、従来型ADCPを用いて潮汐流を、それぞれ計測し海底混合層上端の密度フラックスを見積もる。三次元非静水圧モデルkinakoを用いて、Tidal strainingに伴う懸濁粒子の動態を陽にシミュレートし、海底混合層内における懸濁粒子の斜面沿い方向の輸送量、ならびに、海底混合層から密度躍層への懸濁粒子の輸送量を明らかにするとともに、サブグリッドスケールのパラメタリゼーションに対する依存性を検討する。
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