2019 Fiscal Year Annual Research Report
分散気泡のレオロジーが解き明かす混相乱流遷移のシナリオ
Project/Area Number |
19H02057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田坂 裕司 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00419946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK HYUNJIN 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00793671)
村井 祐一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流れの遷移 / 気泡流 / レオロジー / 実効渦粘度 |
Outline of Annual Research Achievements |
①混相流体の局所非定常レオロジー物性の評価,②実効乱流渦粘度の評価,③気泡集積と渦の安定性評価,④局所乱流塊と気泡の干渉,を個別プロジェクトとして設定し研究を進めた. ①に関して,これまでに構築した超音波スピニングレオメトリ(USR)を用いて,非ニュートン流体に粒子が混入した場合の実効粘度および実効弾性の変調を評価し,理論的な考察を加えた.これらの結果は論文にまとめられ掲載された.またUSRを拡張し,のこぎり波など自由な加振モードに対応するため,のこぎり波がフーリエ変換によりいくつかの周波数成分に展開されることから,複数の周波数成分を持つ振動を加えた場合の方法論を構築した. ②に関して,レイノルズ方程式を基準の運動方程式として用いることで,実効渦粘度を評価するアルゴリズムを構築した.また,これを用いた評価を行うための計測装置として,小型のテイラー・クエット流れとそこにマイクルバブルを含む水を導入するための装置考案した. ③移流しながらの渦による気泡の集積挙動とその渦への影響を調べるため,ラインスキャンカメラを用いた新たな計測法を開発し,気泡チャネル流の装置を用いてその性能を検証した. ④円管内に生じる局所乱流塊である,乱流パフの形成・減衰挙動を,乱流塊とともに移動するカメラによるラグランジュ計測により捉えた.可視化結果から形成過程に現れる特徴的な振る舞いを抽出し,次年度に定量化実験を行うためのパラメータ領域を明瞭にした.また,管壁に設置した出っ張りが乱流塊に及ぼす影響を調査し,条件によっては流れを乱すのではなく,乱流塊を減衰させ,流れを再層流化に導くことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績でまとめた各項目について進展状況を評価する. ①について,当初想定していた項目はすべて実施し,さらに非ニュートン流体に粒子を混ぜた場合に現れる実効粘弾性効果について新たな知見を得ることができた. ②では,アルゴリズムの構築および実験装置の設計までは予定通りに進めることができたが,当初予定よりも高度な性能を装置に求めたため,装置の製作までには至らなかった. ③では予定通りにシステムの組み立てが終わり,気泡流を用いた検定実験を行うことができた. ④の項目では,2名の学生とともに研究を行うことができ,乱流パフの生成に関するラグランジュ計測と,障害物を管壁に取り付けた場合の乱流パフの減衰,それぞれで新たな知見が得られたため,当初予定以上の進展であると考えられる. 以上全体をまとめて評価するに,全体的に概ね順調に研究が進展している.一部では遅れが見られるものの,より高度な研究を行うために必要な時間であった.また,複数の項目で予定以上の結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記,①~④の項目それぞれについて今後の研究方策をまとめる. 2020年度は,①に関してこれまでに構築してきたUSRの技術に加え,2019年度に研究を行った複数周波数の振動による解析技術を用いた気泡流,及び不混和液滴が分散した液体の実効粘度計測を行う.得られた結果を速やかに論文にまとめ,公表する.特に,乱流および混相乱流の研究者との討論を密に行い,今後の研究の進展に努める. ②の項目では,前年度に構築した実効乱流渦粘度の評価法を実装できるテイラー・クエット装置を製作し,レイノルズ応力の試験的な計測までこぎ着ける. ③の項目では,チャネル実験装置に併設したリニアスライダにより追跡実験を行い,定量的な調査を行う. ④の項目では,孤立乱流塊と気泡の干渉を数値シミュレーションにより評価し,実験結果と合わせて論文にまとめる.その他,乱流パフの形成と減衰に関する前年度の成果を定量的に検証し,それらの結果についても速やかに論文にまとめる. 以上に加えて,マイクロバブルによる浮力対流の実験を追加で実施し,それが形成する大域構造についての知見を得ることで,その他各項目の理解を深める.
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Research Products
(10 results)