2019 Fiscal Year Annual Research Report
Energy saving control using discontinuous or non-positive definite input cost
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19H02157
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 裕 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90210426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝一 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (50452115)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非線形制御 / 最適制御 / 省エネルギー制御 / 待機パワー削減 / 制御リアプノフ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
入力にオフセットがあって,目標状態に対応する入力値において入力コストがゼロにならない場合の最適制御についてまず考察した.このような状況は,動き続けるのが定常状態である機械系・定常停止状態で重力などのポテンシャル力を入力で相殺する必要がある機械系,動作点で製品を作り続けるほとんどの化学プラントにおいて現れる.このような入力コスト項と状態コスト項の矛盾している状況において,定数の定常入力コストをただ除去しただけでは,コスト関数の正定性が満たされないため,問題の解決にならない.そこで,入力コスト関数を状態量依存とし,コスト関数全体が負になる可能性がある状態量において入力コスト項を改変する手法を提案した.改変後のコスト関数は元のコスト関数を良く近似し,得られるフィードバック則は目標の状態を漸近安定化する.いくつかの例題で提案法の有効性を確認した.シミュレーション結果によると,コストの低い側の入力を多用し非対称なフィードバックを実現できている. また,待機パワーを考慮した制御についても予備的研究を進めた.まず,制御リアプノフ関数が与えられているときの待機パワーを考慮した省エネルギー安定化制御について考察した.エネルギー関数が非凸であるので,それを緩和した関数を考える.もし,緩和した領域に解が現れた場合は,それはチャタリング解(実際はある程度のパルス幅でオン・オフする解)として考える.安定化入力領域でコスト最小化した入力は二次制約を持つ二次計画問題の解で表現される.ただし,二次制約で現れる行列が正定ではないので,二次錐制約問題にはなっていない.人工的なノルムを用いた場合の結果に関しても,入力グループ化によるグループ毎スパース制御手法を提案した. 一方,モデル予測制御アプローチに関しては,分散制御系のピニング制御において省エネルギー・省通信リソース制御を実現する手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入力にオフセットがあって,目標状態に対応する入力値において入力コストがゼロにならない場合の最適制御については,定数の定常入力コストを除去した後,コスト関数の正定性が満たされ元の関数をできるだけ近似する新たな入力コスト項の提案を行った.改変入力コスト項が満たすべき条件が明らかにされ,その条件を満たす改変手法が提案されている.理論的手法の提案という意味では,目標通りの成果を得ており,シミュレーションによる検証においても,非対称ゲイン特性が実現され,目標とする省エネルギー制御が実現できていることが示されている. また,アクチュエータ待機パワーを考慮した制御において,最適制御則を構築する前に予備的考察を行った.本年度は,制御リアプノフ関数が与えられているときの待機パワーを考慮した省エネルギー安定化制御について一定の成果を得た.安定化が保証されている入力領域内で消費エネルギーを最小化する入力ベクトルを求める問題をスラック変数導入により二次制約付き二次計画問題として定式化した.またアルゴリズム的に最小エネルギー制御を求める方法も構築した.ただし,二次錐制約問題にはなっていないので,次年度以降多少計画の変更が必要である.人工的なノルムを用いた場合の結果に関しても,入力グループ化によるグループ毎スパース制御手法を提案し,グループ間コストバランスを維持する新たな手法を提案し,アクチュエータ待機パワー削減制御手法を提案した. さらに,分散制御系のピニング制御においてモデル予測制御に基づく方法を提案し,省エネルギー・省通信リソース制御を実現した.これは車両platooning制御にも応用され.良好な結果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
目標状態に対応する入力値において入力コストがゼロにならない場合の最適制御については,基本的な理論的検討はほぼ完了したので,今年度に得た結果に基づき,適当な例題に適用し,省エネルギー制御の有効性を確認する.また,引き続き,今年度得た改変コスト関数の条件を満たすような,より優れた改変コスト関数を発見することに努める. 待機パワーを考慮した制御リアプノフ関数に基づく制御においては,2入力系に関して得られていた場合分けに基づく明示的表現を3入力に拡張する.また,今年度の結果では,一般的な問題は二次制約問題に帰着することができたが,二次錐制約問題にはならなかった.そこで,今年度は,[A] 「二次制約問題を数値的に解くアプローチ」,および [B] 「 一度に非線形計画で解くことをあきらめ,二次計画問題を含むアルゴリズム的手法で,制御則を求めるアプローチ」の2通りの手法で計算機にとって解きやすい問題に変換することを試みる. さらに制御リアプノフ関数アプローチでの結果を基に,待機パワーを考慮した最適制御について検討を始める.待機パワーを考慮した最適制御を定式化し,ハミルトン-ヤコビ方程式に帰着させ,数値的に解く方法を開発する.その際に,安定多様体法と有限差分近似法の2つの手法を用いて数値計算を行う予定である. モデル予測制御による省エネルギー制御に関しては,待機パワーを考慮した場合のモデル予測制御に関し考察する. 以上に関して,得られた成果を取りまとめ,新型コロナウィルスの影響もあり予定は不確定であるが,できるだけ学会にて発表するようにしたい.
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Research Products
(11 results)