2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new slope protection technologies using biocementation by focusing on locality
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19H02229
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 了 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00304022)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域性 / バイオセメンテーション / 法面 / 炭酸カルシウム / ウレアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度となる令和元年度は,①尿素分解菌に関する検討,②培養試験および強度発現メカニズムに関する検討,③小型円筒容器を用いた室内固化試験,の3項目に関する研究を実施した。得られた主な成果の概要は,次のとおりである。 ①尿素分解菌に関する検討:北海道内の各地から法面表層の地盤材料を採取し,それらの物理試験と化学試験を行うと同時に,地盤材料中に生息する尿素分解菌の分離・単離を実施した。また,尿素分解菌のウレアーゼ活性に関する温度依存性,pH依存性について評価した。その結果,ウレアーゼ活性の至適温度が20~25℃付近にあり,さらにその値が10日間持続するLysinibacillus xylanilyticusが有望な菌株の候補であることがわかった。 ②培養試験および強度発現メカニズムに関する検討:単離した尿素分解菌の培養試験を行い,炭酸カルシウムの結晶化に適した温度や尿素と塩化カルシウムの濃度などについて調査を実施した。また,培養および固化に必要な材料として,高価な試薬の使用以外に安価な代替品(尿素源には農業用肥料,カルシウム源には凍結防止材,有機栄養源にはビール酵母)の適用性について検討した。さらに,尿素分解菌の遺伝子解析(16S rRNA遺伝子)を行い,尿素分解菌のバイオセーフティレベルが1で安全な菌株であることを確認した。 ③小型円筒容器を用いた室内固化試験:単離した尿素分解菌を用いて,地盤材料(砂質)の室内固化試験を内径2cmのシリンジを用いて実施した。また,効率的な炭酸カルシウムの析出条件について調べるため,試験条件を変化させた実験的検討を行った。さらに,固化した地盤材料の力学特性について評価するため,針貫入試験を実施して推定した一軸圧縮強さ(UCS)を算出した結果,試験開始から2週間後に数MPaのUCSが得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度における研究の目的,実施計画,経費などの策定が適切であったこと,また,期待された研究成果がおおむね順調に得られたこと,さらに,研究代表者に健康上の問題が発生しなかったことなどが,主な理由として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画のとおり,令和2年度は,①尿素分解菌に関する検討,②培養試験および強度発現メカニズムに関する検討,③小型円筒容器を用いた室内固化試験,④斜面模型を用いた室内固化試験,の4項目について研究を実施する。
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Research Products
(54 results)