2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Innovative Assisted Combustion Process Using Extended Microwave Plasma
Project/Area Number |
19H02507
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 剛 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20321979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昌浩 九州大学, 工学研究院, 教授 (60243903)
松下 洋介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80431534)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロ波プラズマ / 支援燃焼プロセス / 二次元分光計測 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,拡大型マイクロ波プラズマを適用したプラズマ支援燃焼の燃焼ダイナミクスを明らかにするため,最も基本的な炭化水素燃料であるメタンを対象として理論的・実験的検討を行った. 実験的検討では,空気あるいは酸素燃焼火炎について,異なる4つのノズルを用いて当量比(量論空気量/供給空気量)をパラメーターとして実験を実施した.いずれのノズルにおいても広範囲において燃焼反応は起きたが,同じノズル断面積で比較した場合,より薄いノズルのほうが可燃範囲は広くなった.本装置は片側からマイクロ波を照射してプラズマを形成するが,マイクロ波が火炎内を通過する際に減衰しながら進むため,薄いノズルのほうがマイクロ波の減衰が抑制され火炎の広い範囲でプラズマにより燃焼が促進されたためであると考えられる.また,燃焼反応をさらに促進させる目的で酸素燃焼を行ったが,空気燃焼の場合よりも反応が悪化した.窒素は燃焼に関与しないため,通常,空気燃焼よりも酸素燃焼のほうが反応は良くなるが,プラズマ下においては窒素が酸素よりも強力な酸化剤であるOHラジカルを多く生成すること,表面エネルギーが高いこと,電子密度が高くなることから,このような結果になったと考えられる. 一方,数値シミュレーションでは,FDTD (Finite-Difference Time-Domain)法と流体シミュレーションを融合したプログラムコードを作成した.FDTD 法はMaxwell方程式を空間的,時間的に差分化し,数値的に解くことによりマイクロ波の電磁界解析を行うものであり,流体シミュレーションに組み込むことで,反応器内の流動状態,電場,磁場を同時に解析することが可能となった.研究3年目はこのシミュレーションコードとメタンの燃焼反応を融合するとともに,プラズマ特有の化学種および反応を追加してプラズマ支援燃焼プログラムを構築する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナウィルスの影響で実験ができなかった期間が少しあるが,実験ができるようになってから挽回し,おおよそ計画していた実験を実施することができた。また,数値シミュレーションについては,オンラインでも実施することができたため,特に問題なくほぼ計画通りに研究を実施することができた. 実験では,プラズマ支援燃焼火炎について,4つの異なるノズルを用いてノズル形状の影響を調査するとともに,空気あるいは酸素を用いてプラズマ支援燃焼実験を行うことで酸化剤の影響について調べた.その結果,同じノズル断面積でも薄いノズルを用いたほうがマイクロ波の減衰が少なくなるため,より燃焼反応が促進されることが確認された.また,プラズマ下では,窒素のほうが酸素よりも強力な酸化剤であるOHラジカルを多く生成すること,表面エネルギーが高いこと,電子密度が高くなることから,酸素用いた場合よりも空気を用いた場合のほうが燃焼反応が促進されることが確認された. また数値解析では,2019年度に構築したFDTD (Finite-Difference Time-Domain)法と流体シミュレーションを組み合わせたプログラムを構築した.これにより反応器内の流動状態を把握するとともに,マイクロ波による電磁場の様子を同時に解析することが可能となった.以上のことから,2年目の研究は,実験的検討および数値シミュレーション共に概ね順調であった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までの実験ではプラズマ支援燃焼火炎の二次元分光計測および燃焼温度測定ができていないことから,2021年度は主に二次元分光計測および燃焼温度測定を実施する.特に,燃焼プロセスで生成されるO,H,OH,CH,C2等の化学種は燃焼反応に影響を及すことから,バンドパスフィルターを用いて各化学種の二次元分布を測定する.また,燃焼温度測定に際して,マイクロ波プラズマ支援燃焼火炎中では熱電対が故障するため,分光計測手法により二次元温度分布を測定する.安定したガス種の励起準位スペクトルを分光器により二次元計測し,各点においてBoltzmann Plot法により温度を算出する.以上の結果と2020年度までの結果をまとめ,プラズマ特有の反応が燃焼反応に及ぼす影響を検証し,本法のメカニズムを実験的に明らかにするとともに本法の最適化を行う. 数値シミュレーションでは,2020年度に引き続き,マイクロ波プラズマ支援燃焼解析プログラムを構築する.2020年度は,電磁界解析においてMaxwell方程式を時間発展形式で数値的に解き,電磁界の変化を観察できるFDTD (Finite-Difference Time-Domain)法と流体シミュレーションを融合したプログラムを構築してきた.2021年度は,このプログラムにGRI-Mech等のメタンの詳細反応機構を考慮した燃焼モデルを組み込む.さらに,プラズマ支援燃焼特有の化学種としてHやO等のラジカルを追記するとともに,プラズマ支援燃焼特有の反応である電子衝突解離や電子衝突励起等の反応式を組み込む.以上のようにして構築した解析コードにより,マイクロ波プラズマ支援燃焼の熱流体解析を行い,燃焼ダイナミクスを理論的に明らかにする.
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Research Products
(5 results)