2019 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシャルグラフェンによる電荷移動型FETバイオセンサの開発
Project/Area Number |
19H02582
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大野 恭秀 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (90362623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 雅夫 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 教授 (20393762)
金井 康 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30721310)
前橋 兼三 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40229323)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | グラフェン / バイオセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は等電点の異なる様々なタンパク質を用いて、SiC上グラフェンでは電荷移動的に検出できているかどうかを調べた。多くのタンパク質は等電点が7付近であるが、本実験では等電点が5や10といったかなり強く正や負に帯電するタンパク質に対しても調査を行った。実験としては溶液のpHを変化させて各タンパク質の帯電状態を変化させ検出特性を評価することで行った。もし本研究代表者が主張する電荷移動型のセンシングでないのであれば、負から正に帯電状態を変化させた場合はシフト方向が異なることが予想される。しかしながら実験結果は全てのタンパク質においてグラフェンに吸着後の伝達特性は負電圧方向のシフト特性を示した。これらの結果はSiC上グラフェンでの吸着特性はターゲットタンパク質の帯電状態に依存しないということを示している。すなわちこれらの結果はSiC上グラフェンでは等電点の如何に関わらず電荷移動的にターゲットタンパク質を検出していることを示している。 またSiC上グラフェンバイオセンサの性能を調べる目的でイミノビオチンとアビジンの吸着特性をpHを変化させて行った。イミノビオチンはpHが高いときはアビジンと非常に強く結合するが、低いと殆ど吸着しなくなる特性をもっている。SiC上グラフェンバイオセンサにおいて、これらの特性を電気的に明確な検出を行うことができた。この結果からSiC上グラフェンは電子配置が変化する微少な化学変化を検出できるほど、非常に高い感度を持っていることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に推移していると考えている。理由としては本研究によってSiC上グラフェンでは他合成法のグラフェンとは異なり電荷移動的に検出が可能であることを実験的に示せたことがあり、これまでにない原理を使ったバイオセンサ開発の最初の一歩を踏み出すことができた。また同時にSiC上グラフェンバイオセンサの非常に高い感度を示すことができた。 しかしながら新型コロナウイルスの影響で発表する予定の学会などの中止が相次いでいることは予想外であり、はやく収束して学会の早期再開が望まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は新規バイオセンサの設計を行うために、実際にデバイ遮蔽長がSiC上グラフェンデバイスではどのようになっているのかを実験的に調べる。予備的な実験でSiC上グラフェンでは遮蔽長は溶液濃度に依存しないのではないかという結果が出ており、この現象をうまく利用できれば設計指針が定まるのではないかと考えた。具体的にはSiC上グラフェンデバイスに形成される電気二重層の静電容量を測定する。これによってSiC上グラフェンデバイスに実際に形成される遮蔽長を反映した静電容量が得られるため、分子認識材料の設計に反映できると考えている。
|
Research Products
(11 results)