2019 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロフルイディクスを駆使した水の窓域の軟X線時間分解分光法の開拓
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19H02628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 俊輔 京都大学, 理学研究科, 准教授 (90431874)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超高速分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数枚のフッ化カルシウム基板を用いたマルチプレートスペクトルブロードニング法により、チタンサファイアレーザー出力の一部を広帯域化(おおむね600~1100nm)した。この広帯域光のパルス内差周波発生により、中心波長1800 nmの赤外光を得た。チタンサファイアレーザーの基本波をポンプ光、赤外光をシード光とする光パラメトリック増幅により、高強度赤外光パルス(パルスエネルギー~1 mJ、パルス幅<20 fs)を得ることに成功した。同パルスを希ガス原子に集光することで、酸素原子のK吸収端を超えて水の窓領域全体をカバーする軟X線が得られる。 水の窓域軟X線領域の分光装置の建設を行った。トロイダル鏡を用いて、軟X線を液体試料用真空チャンバーの液膜ジェットに集光し、過渡吸収測定のプローブ光とする。それとは別に、チタンサファイアレーザーの三倍波光(270nm)を試料位置に集光し、同測定のポンプ光とする。液膜ジェットを透過した軟X線のスペクトルを測定するために、軟X線用回折格子と軟X線CCD検出器からなる分光器を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
軟X線発生装置の設計において、使用する真空チャンバーの設計を行っていたところ、開発した赤外レーザーのパルスエネルギーおよびパルス幅が当初の想定した値と異なっていたため、最適集光条件の設定が予想外に困難なことが判明した。その結果、最適集光条件の検討・設定を行ったうえで、改めて軟X線発生装置の設計を再開する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
高強度赤外光パルスを希ガス原子に集光することで、O原子のK吸収端を超えて水の窓領域全体をカバーする軟X線を得る。軟X線のみを透過させる金属箔フィルタにより赤外光をカットした後、トロイダル鏡を用いて軟X線を試料位置に集光し、過渡吸収測定のプローブ光とする。マイクロフルイディックチップを用いた液膜ジェットを試料位置に配置する。ジェットの先に液体窒素トラップを設置し、試料を直ちに凍結させることで真空度の低下を抑える。液膜ジェットを透過した軟X線のスペクトルを、軟X線用回折格子と軟X線CCD検出器からなる分光器を用いて測定する。
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