2020 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロフルイディクスを駆使した水の窓域の軟X線時間分解分光法の開拓
Project/Area Number |
19H02628
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 俊輔 京都大学, 理学研究科, 准教授 (90431874)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 超高速分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロフルイディックチップを用いて、液膜ジェットの作製を行った。同チップは、流路出口において互いに交差する三本の微小流路を有する。中央の微小流路(直径20 um)には純水、両側の微小流路(直径50 um)にはヘリウムガスをそれぞれ流すことで、チップ先端から射出される純水のジェットがヘリウムガスにより両側から圧縮され、液膜ジェットが生成した。 得られた液膜ジェットを真空中の試料位置に配置するための、液体試料用真空チャンバーの建設を行った。同チャンバーの中央に、マイクロフルイディックチップを下向きに配置した。液膜ジェットの先にはビームキャッチャー(使用時には外側から液体窒素により冷却する)が配置され、試料を直ちに凍結させることで同チャンバーの真空度の悪化を抑える。さらに、同チャンバー内には液体窒素トラップも設置されており、一部気化した液体試料を凍結させることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水の窓軟X線による液相の過渡吸収測定を実現するのに必要不可欠となる、マイクロフルイディックチップを用いた液膜ジェットの作製に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高強度赤外光パルスを希ガス原子に集光することで、酸素原子のK吸収端を超えて水の窓領域全体をカバーする軟X線を得る。軟X線のみを透過させる金属箔フィルタにより赤外光をカットした後、トロイダル鏡を用いて軟X線を試料位置に集光し、過渡吸収測定のプローブ光とする。マイクロフルイディックチップを用いた液膜ジェットを試料位置に配置する。ジェットの先に液体窒素トラップを設置し、試料を直ちに凍結させることで真空度の低下を抑える。液膜ジェットを透過した軟X線のスペクトルを、軟X線用回折格子と軟X線CCD検出器からなる分光器を用いて測定する。
|