2021 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic Study on Internal Phenomena of All-solid-state Rechargeable Battery using Silver-ion Marker
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19H02694
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
折笠 有基 立命館大学, 生命科学部, 教授 (20589733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 昌嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (30593587)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全固体電池 / 固体電解質 / 放射光 / CT / デンドライト |
Outline of Annual Research Achievements |
全固体電池における金属デンドライトの析出挙動は、析出前の場所を的確に把握して、その成長過程を連続的に観察することが重要である。これを実現するために、オペランドX線コンピュータトモグラフィー(CT)法をもちいて全固体二次電池の金属析出解析手法の確立を試みた。キャリアーイオンとしては前年度までと同様に銀イオンを用いた。これは、X線による吸収コントラストが強いだけでなく、ガラスから酸化物までの豊富なバリエーションにより、粒界の有無による影響、歪み、空隙の寄与をパラメータとして整理しやすいためである。 大気中において作製したAgI-Ag2O-P2O5ガラス融液を内径φ0.24 mm石英ガラス管内で急冷し、厚みを約1 mmに成形したものを電解質とした。また、Ag粉末と電解質粉末を質量比3:1で混合した粉末を電極として用いた。そして、両電極にφ0.20 mmのチタン線を接続することでAg| AgI-Ag2O-P2O5 |AgオペランドCT測定セルを作製した。CT測定により得られた3次元CT画像からデンドライトの全体像を観察し、2次元CT画像を定電流測定前後で比較することにより、デンドライト形成前後での電解質内の変化を観察した。 得られた画像コントラストを元に、電解質内に存在する銀を抽出することに成功し、一方の電極から他方の電極に向かって銀デンドライトが伸びている様子が観察された。定電流測定前後における電極付近の電解質を撮影したCT画像からは、X線透過能に応じて、空隙や亀裂、電解質、銀を区別することに成功した。定電流測定後の画像より、電解質内に存在する空隙や亀裂に局所的に銀が析出し、それによって空隙や亀裂が拡大している様子が観察された。以上から、粒界を持たないガラス電解質においてデンドライトは、電解質内に存在する空隙や亀裂を起点に析出し、空隙や亀裂を拡大させながら成長することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、「銀の析出反応が起こる前の電解質中の3次元像を取得し、析出後に同じ場所での3次元像を取得する。これにより、金属析出が発生する部位を特性することが可能となる。全く同じ試料を用いて、金属の析出反応前後で高分解CT測定をすることが必須であり、測定セルの設計と、測定条件の確立に時間をかける。」としていた。本年度はこの内容を着実に実行した結果、実績概要に示すような成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果から、デンドライト析出の観察には、的確なセル設計と固体電解質の選定が重要である知見を得た。そこから、今年度の研究においては、溶融ガラス電解質、粉末ガラス電解質、酸化物固体電解質を対象として、X線CTセルの設計を進める。確立したX線CT測定手法をもとに、粒界有無の影響や空隙の寄与を解析し、デンドライト析出の発生因子を特定させる。
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Research Products
(14 results)