2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel carbon source recycle reaction driven by visible light with water as electron source
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19H02735
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶌越 恒 九州大学, 工学研究院, 教授 (00284539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / 可視光 / 光触媒 / リサイクル反応 / 有機塩素化合物 / ベースメタル / アミド化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
循環型社会の構築には、限られた資源を効率良くリサイクルする技術の開発が急務である。本研究では、炭素資源の循環法として、環境汚染物質である有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化し、残った炭素部分を有用な化合物の炭素源として利用する炭素資源リサイクル反応の開発を行なっている。その手法として、天然金属酵素の優れた性質に着目し、その機能を再現するモデル錯体を合成し、それと光触媒を組み合わせることで、光エネルギーを駆動力とする環境調和型触媒を合成している。本研究においては、可視光応答型触媒として、ロジウムイオンを表面担持したロジウム-酸化チタンに加え、Mg, Fe, Ni, Cu, Coなどの種々のベースメタルを担持した金属イオン-酸化チタン複合体を合成し、そこにビタミンB12誘導体を共担持したハイブリッド触媒の開発に成功した。いずれの触媒も優れた可視光応答性を示し、ビタミンB12誘導体を光還元しCo(I)種を生成することを確認した。またその電子移動速度をサブピコ秒拡散反射吸収スペクトル測定から決定した。開発した触媒はいずれも、Photo-duet反応としてトリクロロメチルベンゼン及びその誘導体を、第3級アミン存在下において、対応するアミド化合物へとワンポットで変換することができた。また触媒は高い耐久性を示し、繰り返し使用することも可能であった。このように、温和な条件(室温、常圧、空気下、可視光下)において、高効率で環境汚染物質を有用な化合物へと変換する技術の開発に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視光を駆動力とする触媒開発として、マグネシウムイオンや鉄イオンなどの安価で豊富なベースメタルを可視光応答部位として導入したハイブリッド触媒の開発の成功している。また炭素資源のリサイクル反応として、クロロホルム、四塩化炭素、DDT、トリクロロメチルエタンなどの広範な有機ハロゲン化物を原料として、エステルやアミドに変換する技術を確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究の最終年度として、2020年度に開発したベースメタルを修飾した可視光応答性のハイブリッド触媒を用い、より社会実装に近い炭素資源リサイクル反応を開発する。具体的には、四臭化炭素を原料とし、温和な反応条件(常温、常圧、空気下、太陽光)下における、ベースケミカルである尿素へのワンポット変換反応を実施する。また、フローリアクターに触媒を充填したフローシステムへと展開することで、触媒の再利用や生成物との分離が容易となるより汎用性の高い反応システムの開発を目指す。 また二段階光励起のZスキーム機構を導入した触媒システムを開発し、水を電子源とする反応システムの開発を検討する。
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Research Products
(6 results)