2020 Fiscal Year Annual Research Report
Glycopolymer nanomedicine based on the controlled polymerization and the operation of biological functionality
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19H02766
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 友 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40554689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖鎖高分子 / リビングラジカル重合 / 分子認識 / PET-RAFT |
Outline of Annual Research Achievements |
精密な糖鎖高分子の合成を行い、分子認識性高分子の基礎的な知見を得た。 まず、同じ側鎖糖鎖が同じ(マンノース)であるが、高分子のバックボーン、分子鎖長が異なる高分子を合成し、これらが糖認識タンパク質に及ぼす影響を調べた。マンノースのターゲットとしては、マンノース認識タンパク質であるコンカナバリンA(ConA)を用いた。ConAは多量体タンパク質であり、ターゲットと多点で結合すると多価効果によって強い分子認識性を発揮する。多くの場合、高分子の鎖長の変化に伴う、分子認識性の変化に着目しているが、我々は高分子の種類(アクリルアミド、アクリレート、メタクリレート)によってその分子認識性に大きな差異があり、それらは高分子の分子運動性に関係することを明らかにした。このことから、高分子物性に着目した、分子設計が重要であることがわかった。 重合法として、光電子移動を用いたリビングラジカル重合法(PET-RAFT)に着目し、糖鎖高分子のライブラリーの調製方法を確立した。リビングラジカル重合を利用した重合法では、酸素を除去する高真空条件を必要としており、産業レベルでのスケールアップや多種類合成を阻害していた。オープンエアーでの重合を可能にして分子ライブラリーの迅速な取得を可能にした。装置の開発から、重合速度解析まで幅広く基礎的な検討を行い、ターゲットタンパク質に対するスクリーニングを行った。糖鎖高分子の迅速なライブラリー調製を行い、コレラ毒素に強く結合する高分子の開発を行った。 免疫を抑制する高分子の開発を行った。免疫を抑制するタンパク質シグレックの多価リガンドの開発を行った。疎水性と親水性を併せ持つ、テトラヒドロフランを側鎖に有するアクリレートとシアリルラクトースの共重合体の精密重合を行った。また、細胞を用いたin vitro試験によって、シグレックに糖鎖高分子が作用することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討で、糖鎖高分子を精密に設計することでタンパク質の分子認識を制御することができている。側鎖と主鎖のデザインによって、糖鎖高分子をタンパク質の構造通りに分子認識させることができた。また、昨年度までの研究では、糖鎖高分子の主鎖の種類によっては、分子認識性が十分に得られないといった問題点があったが、今年度研究によって、高分子の物性が分子認識性に関係することを実証した。さらに新しい重合法についても装置も含めて開発することができた。細胞に作用する多価リガンドの設計にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
リビングラジカル重合を駆使することで、タンパク質の形状にあった糖鎖高分子の開発とその機能化を進める。ターゲットとしては、糖認識タンパク質、毒素タンパク質、細胞を用いる。シグレックへの相互作用を通じて、効果的に細胞に作用する高分子の開発を進める。また、PET-RAFT重合を用いることで、効率的な分子ライブラリーの取得方法を確立し、未知サンプルも含めた分子スクリーニングの実施、解析を行う。
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Research Products
(22 results)