2021 Fiscal Year Annual Research Report
スピン依存の光励起ダイナミクスを利用した開殻分子エレクトロニクス
Project/Area Number |
19H02788
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学研究科, 教授 (80262145)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 分子エレクトロニクス / 開殻分子 / 励起状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、有機ラジカルを置換基に持つ分子ワイヤと持たない分子ワイヤとの単分子コンダクタンスの比較を行い、分子ワイヤ上のスピン密度がどのような影響をもたらすかについて検討を行った。異なる長さの側鎖をもつロジウムポルフィリンテンプレートに、メチルおよびイミノニトロキシド置換4-(ビフェニル-4-イル)ピリジンワイヤーを結合した分子を合成した。固液界面での2次元相分離法を利用して、2つの分子が1枚のSTM像に別々のドメインを形成する濃度条件を見出した。それぞれのドメインに対して、等電流モードでのSTM高さ測定を行った。STM測定高さの統計分析により、SOMOの17%のみがワイヤ部分に分布すると計算されているにもかかわらず、ラジカル置換ワイヤのコンダクタンスはメチル置換参照分子ワイヤの3.2±1.7倍であることが明らかになった。この置換基効果は、開殻性をもたない置換基の効果より大きい効果であり、この顕著なラジカル置換基の置換基効果は、ラジカルユニットに由来する高位のSOMOが原因であると考えられる。また、フロンティア軌道のエネルギーギャップもラジカル置換基をもつ分子の方が小さくなっており、これも高いコンダクタンスの原因であると考えられる。本研究は、半占軌道の部分的な非局在化でさえ、分子ワイヤの単一分子コンダクタンスを大きく変化させることを示している。SOMOがより非局在化したワイヤの場合には、より優れた電子輸送特性を示すことが期待される。
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|