2019 Fiscal Year Annual Research Report
多重共鳴MRI技術の拡張による双極性ポリマープローブの粒子径イメージング法の構築
Project/Area Number |
19H02852
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 久嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (80512764)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 宏彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40506466)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 双極性ポリマープローブ / 多重共鳴MRI / 分子イメージング / 生体適合性ポリマー / EPR効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の準備段階で、細胞膜脂質の構成要素であるホスホリルコリンの重合体 (PMPC) を、13C核でラベルした双極性ポリマー (13C-PMPC) プローブを開発し、本プローブ自身がマウス腫瘍に高効率かつ高選択的に集積する様子を in vivo 多重共鳴MRI法により明らかにしている。本研究では、「多重共鳴NMR/MRI法」を展開拡張して、双極性ポリマープローブの粒子径を画像解析出来る革新的な磁気共鳴イメージング技術の研究基盤を確立することを目的としている。本年度は、「多重共鳴NMR法」と分子の拡散運動を観測する「拡散NMR法」を融合した「多重共鳴拡散NMR法」に着目し、生体夾雑下でのポリマープローブの粒子径変化の解析を試み、以下の成果を得た。13-PMPCプローブの拡散係数および粒子径を多重共鳴拡散 NMR 法により評価した結果、13C-PMPCプローブの1H-13C配列内の1Hシグナルのみが選択的に観測され、拡散係数から算出した分子サイズは、動的光散乱測定の結果と極めてよく一致した。また、重水中における13C-PMPCの粒子径は、分子量依存的に増大することが明らかとなった。さらに、13C-PMPC は血清中といった生体夾雑下でも粒子径が維持され、13C-PMPCプローブの高い生体適合性が実証された。さらに、磁気共鳴イメージングへの展開に向けた要素技術開発の検討として、多重共鳴MRI測定法を改変した新規MRI撮像シーケンスを作成し、水溶液中において13C-PMPCプローブの拡散係数を選択的に画像化することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は、「多重共鳴NMR/MRI法」を展開拡張して、双極性ポリマープローブの粒子径を画像解析出来る革新的な磁気共鳴イメージング技術の確立である。実績概要で述べた通り、「多重共鳴NMR法」と分子の拡散運動を観測する「拡散NMR法」を融合した「多重共鳴拡散NMR法」に着目し、生体夾雑下での双極性ポリマー (13C-PMPC) プローブの粒子径変化の解析に成功した。本手法により、13C-PMPCは血清中といった生体夾雑下でも粒子径が維持されることが明らかとなり、腫瘍集積性を有する13C-PMPCプローブの高い生体適合性が実証された。これらにより、生体内におけるポリマープローブの粒子径変化の可視化解析への応用に向けた一定の基礎知見が得られた。この観点から、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
双極性ポリマープローブの腫瘍指向性に重要な因子である「粒子径」をイメージング解析出来る「多重共鳴拡散MRI法」の研究基盤を確立するために、今後以下の研究を進める。
(1)PMPCのホスホリルコリン構造を他の双性イオン対に変更した新規13C-ラベル化双極性ポリマープローブを設計・合成する。リン酸アニオンーアンモニウムカチオン型の双性イオン対ペアに加えて、3種類の双極性ポリマープローブの合成に取り組む。(2)合成した3種類の双極性ポリマープローブの分子構造に及ぼす双性イオン対の影響について、表面電位・粒子径測定により構造レベルで調べ、水晶発振子マイクロバランス法を用いて血清タンパク質とポリマープローブの相互作用を明らかにする。(3)合成に成功した双極性ポリマープローブのうち、少なくとも1種類について、プローブの腫瘍集積性。腫瘍集積能・血中滞留性・体内動態を多重共鳴MRI法を用いて評価する。(4)さらに、要素技術開発に成功した「多重共鳴拡散NMR法」ならびに「多重共鳴拡散MRI」法を用いて、本ポリマープローブの粒子径が生体夾雑下においても選択的に解析出来ることを明らかにする。
|
Research Products
(9 results)