2020 Fiscal Year Annual Research Report
腸管-肝臓-血管系の機能連携に着目した新しい血栓制御メカニズムと食品機能の解明
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19H02914
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20187834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80445741)
増澤・尾崎 依 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (70614717)
三浦 徳 日本大学, 生物資源科学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (90826281)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血栓 / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の当初実施計画は、1. 血漿TMAO 濃度を減少させる機能性成分が動脈硬化及び血栓形成に及ぼす影響、2. 血栓形成能の解析、3. 血漿TMAO 濃度に影響を及ぼす機能性成分が肝臓FMO3 発現に及ぼす影響、4.TMAOが凝固因子(TF), tissue factor pathway inhibitor(TFPI)の発現に及ぼす影響の解析 である。これまでにTMAOが白色血栓(一次血栓)形成のトリガーとなる血小板の凝集能、血管内皮の機能に及ぼす影響について検討してきたが、一部の他機関の先行研究の結果とは異なり、これらの凝血機能に対してTMAOはほとんど影響を及ぼさないことを明らかにした。本年度は、これらの知見に基づき、研究の方向性、当初計画の一部を変更して、これまでに抗血栓作用を有する可能性を明らかにした食品由来成分の抗動脈硬化作用について明らかにしようとした(項目1,2)。抗動脈硬化作用の検討には、動脈硬化モデルマウスであるApo E遺伝子欠損マウスを用い、通常食を給餌した条件で実施した。その結果、これまでに抗血小板作用を有することを明らかにしたアリルスルフィドの一種ジアリルトリスルフィドが心臓の三尖弁のプラークのサイズや脂質蓄積を抑制する可能性を明らかにした。ジアリルトリスルフィドは、Apo E遺伝子欠損マウスの血漿脂質濃度には影響を及ぼさず、プラークにおける抗炎症作用やマクロファージの浸潤抑制作用などを介してプラークの形成を抑制する可能性が示唆された。前年度、TMAOが血小板機能には影響を及ぼさないことを明らかにしたが、前年度に引き続き、血管内皮に対するTMAOの影響についてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)等を用いてさらに詳しく検討を行った。その結果、炎症惹起物質に対する刺激などに対しても増強効果は認められず、細胞レベルでもTMAOは動脈硬化に影響を及ぼさない可能性が明らかになった(項目4)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において、研究室等、施設の使用が一部制限された影響もあり、細胞培養を行う試験が一部計画より遅れた。遺伝子改変マウスの維持、繁殖などは、行動制限のある厳しい状況下においても事故なく適切に実施できた点は評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初設定した仮説や他者の研究成績とは異なり、TMAOが凝血系に影響を及ぼさない可能性が明らかになってきた。これまでの研究において、他の研究グループの成績とは異なる点もいくつか見いだされた。今後は、凝血系に影響を及ぼす食品由来機能性成分の動脈抑制作用やそのメカニズムについてさらに追究し、国民の健康増進に対して必要とされる、食と健康に関する基礎的な情報を提供していく。
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Research Products
(23 results)