2020 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害へのレジリエンスを考慮した臨海農業集落の存続可能性評価軸の創成
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19H03076
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
服部 俊宏 明治大学, 農学部, 専任准教授 (10276165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
清水 夏樹 神戸大学, 農学研究科, 特命准教授 (40442793)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
齋藤 朱未 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (20712318)
井上 果子 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (70733129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 臨海農業集落 / レジリエンス / 生業構造 / 土地利用変化 / 野生動物被害 / 社会的弱者 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は感染症パンデミックにより、特に現地に赴いての対面調査の実施で研究計画の変更を強いられた。そのような中でも、沿岸域を含む全国の地域特性データベースの作成に着手し、必要な指標の選択と試験的な分析を行うなど、実施可能なところから研究を遂行した。 現地調査においては、山口県周南市大津島において、現役世代の生業構造に関する聞き取り調査を実施し、農地の利活用から距離を置いている実態を明らかにした。また、これまでの土地利用状況の変化を空中写真の解析から把握し、山の利用の後退と集落内への農地利用の縮退が確認された。 野生動物被害による農地損壊が深刻化する愛媛県松山市中島では、野生動物被害対策手法を検討し、臨海農業エリアでは潜在的に生物多様性が低いもしくは陸側とは異なる生物相を有しており、外部から新たに侵入するイノシシ等の天敵不足等から移入種の爆発的な生息数増加を招きやすいことを示した。また、旧村レベルと集落レベルの二層型の組織構築が相互補完的・持続可能な活動を可能にすることを示した。 宮崎県においては、条件不利地における集落レジリエンスに関連し、社会経済状況の変遷を経て再起した集落の事例について取りまとめた。また、大災害が生じた際、特に「社会的弱者」(高齢者,女性,障がい者など)に偏って被害・困難が生じている状況を踏まえ、障がい者及び女性を対象にした調査を実施した。また、宮崎県漁協女性部を対象にしたインタビュー調査を実施した。 これらの調査により、臨海農業集落としての被災とレジリエンスの特徴に関する検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初の計画と比較し、現地調査の実施に多く障害が生じた。特に事例調査地は高齢化が進行しており、調査対象者も高齢者が中心であるため、COVID-19罹患の特徴から訪問がさらに難しくなったこともある。入国制限等の問題からベトナム・フエ沿岸部での調査は延期となり、国内でも国東半島、小値賀町での調査は研究をまたいだ移動を伴うことから、十分な調査機会を得られなかった。一方で、愛媛県や宮崎県の事例地区は、県内移動で完結するために、相対的には調査を進めやすかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、感染症パンデミックの影響で遅れが生じている現地調査を着実に実施する。そのことにより、臨海農業集落としての被災とレジリエンスの特徴に関する調査結果を早急に取りまとめることを考える。また、ベトナム・フエ沿岸部での調査は、感染症パンデミックが収束するまで予定しないこととする。 このことにより、これまで得られた知見を整理し、愛媛県沿岸・島嶼部等を対象にこれまで試行してきた類型化の再構築をおこなうとともに、その有効性を検証する。このことにより、最終年度の臨海農業集落の存続可能性評価軸の創成に向けた課題を整理する。
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Research Products
(3 results)