2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pregnancy-specific responses in bovine extra uterine organs
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19H03099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 昌志 北海道大学, 農学研究院, 教授 (10343964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪 友瑛 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 酪農試験場, 研究職員 (50825338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠応答 / ウシ / 子宮外組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度計画の継続と合わせて、1)頸管粘膜組織における妊娠応答細胞種の同定とともに、2)子宮外組織における新規応答因子の探索と検証、を実施した。 結果1)綿棒にて採取した粘膜組織の抗IFNT抗体による染色が認められた細胞に対して、抗サイトケラチン抗体による染色を実施したところ、染色が確認されたため、IFNT陽性細胞は頸管上皮細胞であることが推察された。加えて、粘膜組織を溶解し、ウエスタンブロットにより妊娠で遺伝子発現上昇がみられたISG15のタンパク質を検出したところ、妊娠組織で高いタンパク質発現がみられた。このことは、上皮細胞上の受容体にIFNTが結合し、細胞内へのシグナル伝達によりISG15の発現が促進されたことの強い裏付けとなった。さらに採取した頸管組織から採取分離した液性成分を非妊娠牛から採取した白血球と共培養後にISG15の発現を解析したところ、妊娠頸管粘膜との共培養時のみでISG15の発現上昇がみられた。このことから、先に確認されたIFNTの頸管粘膜への結合局在と合わせて、そのIFN活性も確認され、頸管内へのIFNTタンパク質の移行とISG誘導への関与が明らかとなった。また、妊娠によって子宮内膜での免疫細胞の誘導が知られているマクロファージの染色によって、局在を検出したところ、頸管においては、妊娠時に内膜上皮細胞側への移動がみられ、子宮内とは別の免疫応答挙動が示唆された。 2)において、妊娠、非妊娠18日目の頸管粘膜組織から採取したRNAを使ったRNAsequenceにより妊娠特異的な変動遺伝子の探索を行ったところ、ISGであるIFIT1,2,3が上昇遺伝として見つかり、その発現も14, 18, 25日目のIFNT分泌がピークとなる18日目で高い誘導がみられた。また、逆にD18以降の妊娠で発現が顕著に低下する遺伝子としてIGFBP3が新規に見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、1. ISG発現の時間、空間的変動解析と評価の計画中にて、頸管粘膜組織における妊娠応答細胞種が上皮細胞であることが同定され、上皮細胞の間に存在するIFN受容体に結合したIFNTの挙動として同定された。このことは、ISG15の遺伝子並びにタンパクの増加としても確認されたことから、妊娠応答細胞腫として頸管上皮細胞が主であることが推察された。また、実施実験2.でトランスクリプトーム解析によって頸管組織で妊娠特異的に変動する遺伝子群が見いだされ、子宮内のIFNT産生パターンとの相同的な挙動としても見いだされた。また、逆に妊娠によってd18以降低下する遺伝子としてIGFBP3が新規に見いだされ、これは妊娠不成立時に頸管内にて発情開始の挙動を示すタンパク質として今後の動態の解析が非常に興味深い因子であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの計画に従った試験を進める。 すなわち、受容体を介して細胞内へのインターフェロン情報伝達と遺伝子誘導応答と同時に、IFNTは免疫応答やウイルス防御の役割を持っていることも知られているため、検疫細胞の挙動を生体内組織や、採取白血球を用いた体外培養系での動態についても子宮内で妊娠時に内膜に移行がみられることが報告されているマクロファージについてもマクロファージマーカーであるCD68の妊娠頸管内での移行動態のさらなる詳細な検出に加えて、ウイルス応答に関与する因子の発現動態も含めて解析を行う。 加えて、妊娠で低下する因子、すなわち妊娠不成立で発情回帰に関与する因子として、新規にISGBP3の顕著な挙動が新規に見いだされた。その頸管組織での動態が国内外で未報告であることから、胚の産生するIFNTによる関連遺伝子の増加並びに非妊娠時の発情回帰指標としてのIGFBP3の両挙動を検出・解析することで、本研究の主要な目的である低侵襲、簡易迅速な妊娠判定技術開発への基盤情報の収集を目指す。
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Research Products
(11 results)