2020 Fiscal Year Annual Research Report
Global profiling of pathogens in ticks
Project/Area Number |
19H03112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松野 啓太 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 講師 (40753306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 宏樹 北海道立衛生研究所, その他部局等, 研究職員 (50777836)
大場 靖子 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 准教授 (60507169)
梶原 将大 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 助教 (70711894)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルボウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は引き続き、複数の微生物を網羅的かつ同時に検出・培養する手法の開発を行った。本研究では、主に下記3種の方法を昨年度より比較検討している: 1) 核酸ベースの網羅的検出と、乳剤からの分離培養 (従来法)、2) 実験動物を用いた人工吸血による病原体検出と、動物組織からの分離培養 (吸血法)、3) Ex vivo共培養による網羅的検出 (Ex vivo共培養法)。令和2年度は、従来法を用いてオーストラリアで採集したマダニより新規フレボウイルスを同定した。さらに、マダニ咬傷後に発熱を呈した患者から検出されたオルソナイロウイルスであるYezoウイルス(児玉ら、国立感染症研究所IASR 2020年1月号)を対象とした調査を実施した。本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外でのマダニ採集が極めて困難になり、さらに国内でのマダニ採集も限定的な実施となった。そこで、実験室内で人為的にウイルスを接種したマダニを用いた実験モデルからのウイルス検出・分離培養方法検証を進めた。また、過去にボリビアで採集した蚊からのフラビウイルス分離培養を行った。節足動物から検出・あるいは分離培養された各微生物については、遺伝情報解読と病原性解析の2つの性状比較解析を実施した。特にYezoウイルスに注力し、全長遺伝子配列の解読と、ウイルス分離培養法樹立を完了した。また、リアルタイムPCR系を樹立し、北海道のマダニ中のYezoウイルス分布状況を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の本来の目的である、マダニ中の微生物のプロファイリング(=グローバルプロファイリング)には世界各地でのマダニ採集が必須であるが、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、令和2年度は海外でのフィールド調査のみならず、国内のフィールド調査も延期せざるをえなかった。そのため、オーストラリアなどの共同研究者から採集したマダニを送付してもらう、過去に採集したマダニ検体を再解析するなどの方策により研究課題の進捗を維持したが、当初予定より遅延が発生している。しかし、一方で、国内で新たなダニ媒介性感染症の病原体であるYezoウイルスを発見し、そのマダニ中での分布状況を明らかにするなど目覚ましい成果を挙げている。よって、全体的には本研究はおおむね順調に進捗していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に引き続き、複数の微生物を網羅的かつ同時に検出・培養する手法の開発を行う。さらに、Yezoウイルスを対象とした調査を日本全国に拡大して実施する。マダニから分離培養された各微生物については、遺伝情報解読と病原性解析の2つの性状比較解析を実施する。まず、マダニから検出された各微生物は、サンガーシークエンサーと次世代シークエンサーを併用して遺伝子配列を解読する。さらに、これまでに収集あるいは分離培養したウイルスについて、実験動物を用いて病原性の検討を実施する。マダニから分離培養された各微生物の実験動物に対する病原性は、それぞれの微生物に近縁な病原微生物で従来より用いられてきたモデル動物により調べる。また、モデル動物以外の各種マウス(免疫不全マウスを含む)、モルモット、ハムスター、ラット、スナネズミ等のげっ歯類実験動物についても病原性を確認し、近縁な微生物間で病原性を比較可能な動物モデルを樹立する。樹立した動物モデルをさらに利用し、野外で採集したマダニ個体中の微生物叢の情報を基に、微生物同士の重感染による病原性への影響についても解析する。
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Research Products
(2 results)