2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of radioprotectors that selectively protect normal tissues
Project/Area Number |
19H03604
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森田 明典 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90334234)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 伸 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (00222472)
王 冰 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, グループリーダー(定常) (10300914)
下川 卓志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 物理工学部, 研究統括(定常) (20608137)
椎名 勇 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (40246690)
笹谷 めぐみ (豊島めぐみ) 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80423052)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 放射線防護剤 / 細胞死 / 正常組織防護 / p53 / 分子標的創薬 / 抗炎症作用 / 抗炎症剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
①「p53調節剤」の研究開発:本研究では、マウスを用いて腸上皮、肺組織に対する放射線防護活性を評価すると共に、低LET/高LET放射線照射下での腫瘍制御率の向上を目指した本化合物およびその類縁体の活性評価を進めた。 遺伝子発現の網羅的解析による5CHQの転写調節作用解析については、腸上皮幹細胞のマーカー分子の発現解析の結果、5CHQは+4細胞よりもcrypt base columnar(CBC)細胞の生存を高めることが示唆された。また、腸上皮幹細胞の生存を促す種々の液性因子の発現上昇が認められた。現在、これらの保護作用について、Lgr5-EGFP-IRES-creERT2ノックインマウスを用いた腸上皮幹細胞動態解析を進めている。 ②「p53阻害剤」の研究開発:本研究では、照射部位や線質の違いによってバナデートの防護作用が及ぶ組織の明確化を進め、分割照射における有効性について検証を進めた。 バナデートを用いた粒子線全身照射マウス防護活性評価では、鉄線による骨髄死では、炭素線障害に比べて救命率は低いもののバナデートを用いたp53阻害によって制御できる骨髄細胞死があることが明らかとなり、鉄線のような85 keV/μmを超える高LET放射線でもp53制御による細胞死抑制が有効であることを発見し、論文として発表した。 ③p53非依存的な放射線防護剤の開発 放射線性腸炎は、早期~晩期にわたって免疫系の炎症反応が深く関与していることが明らかになり、炎症反応を鎮める分子標的アプローチが奏功することが期待されている。本研究で見出された抗炎症化合物は、防護活性を担う候補遺伝子群の発現変動として、腹部照射マウスにおいて一連の自然免疫受容体が下方制御されることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①「p53調節剤」の研究開発:5CHQによるマウス腫瘍制御率向上活性評価については、Trp53ノックアウトマウスから種々の腫瘍細胞株を樹立し、移植後の生着性が高い腫瘍細胞株を得た。現在、これらの移植腫瘍株を用いた活性評価に移行する段階である。5CHQ様活性を高めた5CHQ誘導体の作用機序解析も進行中である。大腸がんモデルマウスApcMin/+マウスを用いた5CHQおよび類似活性化合物の発がん活性評価については、組織解析を進めている段階である。 ②「p53阻害剤」の研究開発:全身照射試験における骨髄死に有効なバナデートについて、腹部照射マウスの防護活性評価を進めた。その結果、分割照射によって防護活性が大きく変化することが明らかとなった。現在、その分子作用機序の観点からその原因を調べているところである。 ③p53非依存的な放射線防護剤の開発:本研究で見出された抗炎症化合物は、非照射時の投与毒性は低く、mRNA発現にも大きな変動を示さないが、放射線障害時に自然免疫関連分子を制御するという優れた特徴を有していることを発見した。
|
Strategy for Future Research Activity |
①「p53調節剤」の研究開発:担がんマウスを用いた5CHQおよびその誘導体による腫瘍制御率の向上活性では、移植腫瘍株のp53遺伝子型の違いによる活性評価に注力したい。当初は、ドミナントネガティブ作用を示す変異型p53の導入株と、野生型Trp53遺伝子型の親株を移植腫瘍として用いる予定であったが、これらの細胞株のp53残存活性による保護作用が懸念されたため、Trp53ノックアウトマウスから樹立した腫瘍細胞株およびp53復帰導入株を用い、より正確な活性評価を進める。 ②「p53阻害剤」の研究開発:分割照射におけるバナデートの防護活性評価については、ノックアウトマウス等も活用してその活性の分子基盤を明らかにしたい。また、バナデートの有機化学的修飾による低毒性化も進める。 ③p53非依存的な放射線防護剤の開発:抗炎症化合物については、その防護活性が炎症反応の抑制に依るものであることを示すデータが得られつつあり、炎症関連遺伝子ノックアウトマウス等を用いた防護作用の分子機構解明を進める。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Presentation] Expression analysis of genes associated with the radioprotective effect of p53 modulator 5CHQ on acute intestinal radiation injury2021
Author(s)
Takuma Sakai, Akinori Morita, Akinori Kanai, Bing Wang, Atsushi Enomoto, Shohei Ujita, Shin Aoki, Hidetoshi Sato, Masahiro Sakaue, Yuichi Nishiyama, Toshiya Inaba
Organizer
The 5th International Symposium of the Network-type Joint Usage/Research Center for Radiation Disaster Medical Science
Int'l Joint Research
-