2020 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌免疫微小環境における脂質メディエーター分子の役割解明と治療応用を目指した研究
Project/Area Number |
19H03714
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 研究准教授 (30743918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00512310)
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10334674)
諸 和樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (10745566)
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, フェロー (40162325)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
土田 純子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (90769415)
三好 康雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50283784)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スフィンゴシン-1-リン酸 / 腫瘍免疫微小環境 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、乳癌の転移・再発における腫瘍免疫微小環境の働きが注目されている。腫瘍免疫微小環境においては、癌を抑制する免疫細胞と、癌に対する免疫を抑制し癌の進展を促進する免疫細胞とが存在する。癌を抑制する免疫細胞として腫瘍浸潤リンパ球(TIL)があり、TILが多い癌では転移が抑制される。癌の免疫逃避に重要な役割を果たす免疫細胞には、制御性T細胞(Treg)や骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid derived suppressor cell; 以下、MDSC)等が知られ、癌の転移・再発を促進する。S1Pは腫瘍免疫微小環境において、癌細胞を制御するこれらの免疫細胞に影響を及ぼしている可能性が示唆され、本研究で追究する。申請者は、「乳癌患者の腫瘍免疫微小環境において脂質メディエーター・スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)が重要な役割を担っている」と仮説を立て、本研究を企画した。本研究の目的は、腫瘍免疫微小環境におけるS1Pの役割を解明し、その臨床的意義を明らかにして治療応用のための研究基盤を築くことである。本研究課題では、SphK1KO細胞をSphK1KOマウスに移植する実験を行い、腫瘍微小環境におけるS1Pの重要性が示唆された。免疫微小環境におけるS1Pの作用機構について解析し、免疫逃避機構(PD-1、PD-L1発現)との関連について解析中である。また、患者検体でS1Pを含むリピドミクス解析を行い、臨床病理学的因子との関連を解析した。さらに、TCGA及び自験例におけるバイオインフォマティクス解析により、腫瘍免疫微小環境におけるS1Pの新たな関係を発見し、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、研究課題A~Cに取り組んできた。 研究課題A:SphK1KO細胞をSphK1KOマウスに移植する実験を行い、腫瘍が形成されず、腫瘍微小環境におけるS1Pの重要性が示唆された。免疫微小環境におけるS1Pの作用機構について解析し、免疫逃避機構(PD-1、PD-L1発現)との関連について解析中である。 研究課題B:患者検体でS1Pを含むリピドミクス解析を行い、臨床病理学的因子との関連を解析した。さらに臨床検体のRNAseq解析を行い、腫瘍免疫微小環境とS1Pの新たな関係を見出した。 研究課題C:TCGA及び自験例におけるバイオインフォマティクス解析により、課題Bで認めた腫瘍関連免疫細胞とS1Pとの関連性を検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
令3年度は、引き続き研究課題A~Cに取み、研究を総括し論文としてまとめる。 研究課題A:社会状況から動物実験の追試が困難となる可能性があり、これまでの検体の解析を進めるとともに細胞実験による解析、検証を行う。 研究課題B:患者検体でS1Pを含むリピドミクス解析とRNAseq解析を行った結果を臨床病理学的因子と統合解析し、腫瘍免疫微小環境に関わる遺伝子について蛋白発現を確認し、これまでの知見を総括する。 研究課題C:TCGA及び自験例におけるバイオインフォマティクス解析により、腫瘍関連免疫細胞とS1Pとの関連性について解析結果を総括し、以上を論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(4 results)