2019 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌PDXライブラリ-を用いたシングルセル解析による腫瘍内治療抵抗不均一性の解明
Project/Area Number |
19H03732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 隆生 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20372766)
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
仲田 興平 九州大学, 大学病院, 助教 (30419569)
宮坂 義浩 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40507795)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 助教 (40611281)
森山 大樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (70586859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / PDX / シングルセル解析 / 治療抵抗性 / 腫瘍内不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的達成にむけ、まずはヒト膵癌患者の腫瘍組織移植(PDX)モデルの作製を行った。外科的に切除した新鮮な腫瘍組織を小切片に切離し、超免疫不全マウス(Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wj1/SzJ:NSG)へ皮下移植した。移植した組織形態は<小切片のまま>、<小切片をさらに単細胞分離したもの>の2種類で行ったが、いずれにおいても生着を認めた。約1㎝3まで増大後に腫瘍を採取し、再度小切片に切離し複数のNSGマウスへ継代移植した。それらもいずれにおいても生着が確認できたため、再度小切片に切離し凍結保存を行い、PDXライブラリー作成を開始した。また、移植腫瘍をパラフィン固定およびH&E染色を行い、実際の組織標本と組織像を比較した。PDX腫瘍はいずれも実際の組織標本と非常に類似した形態を呈しており、腫瘍細胞のみならず間質細胞(膵星細胞や免疫細胞の一部)もそのまま継代維持されていた。また一部の検体では、PDXモデルと同一組織を用いて膵癌オルガノイドと膵星細胞の樹立にも成功した。これにより、PDXモデルの作製において腫瘍生着・継代が困難となった場合や解析が難しい場合に、膵癌オルガノイド移植モデルの作製やこれまでの3次元共培養モデルを用いた膵癌微小環境再現in vitroモデルの作製が可能となった。また。一方で、PDXモデルを用いた解析に先立ち、実際のヒト膵癌組織を10X Genomics社のChromium systemを用いてシングルセル発現解析を行った。これにより、膵癌組織を複数の細胞集団(クラスター)に分類することが可能となり、発現パターンを基に膵癌細胞集団の他、免疫細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞を同定できた。今後は、生着確認した膵癌PDXモデルが、投薬実験が可能となるまで同時に複数匹に継代移植可能かを検討し、可能となれば投薬試験後のシングルセル発現解析を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通りに、膵癌PDXモデル作製において移植腫瘍の生着確認および継代が可能となった。また、PDX腫瘍ではないが、ヒト膵癌組織を用いてシングルセル発現解析が可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌PDXライブラリー作成にむけて精力的に検体採取・PDXモデル作製を行う。また、PDX継代後の凍結切片を用いてさらなる継代維持が可能かを検討する。PDX継代維持が困難で研究遂行が困難となる可能性を考慮し、同時に膵癌オルガノイドおよび膵星細胞の樹立も行う。同時にシングル発現解析データを用いて解析手法を確立し習熟させる。
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