2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of intelligent carbon nanomaterials for innovative biomaterials for oral region
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19H03839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
湯田坂 雅子 名城大学, 理工学研究科, 特任教授 (70159226)
岡崎 俊也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 副研究センター長 (90314054)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カーボンナノ物質 / インテリジェント化 / 薬剤徐放 / カーボンナノホーン / カーボンナノチューブ / 骨再生誘導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の概要を以下に示す. 1.骨再生誘導法への単層カーボンナノチューブ膜の応用 単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)とヒアルロン酸を用いてGuided Bone Regeneration (GBR)用膜(SWCNT膜)を開発し,in vivoにおける周囲組織の反応と骨形成を観察した.また,in vitroにおけるSWCNT膜上でマウス頭蓋冠骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1),マウス胎児線維芽細胞(NIH/3T3)を培養し,それぞれの細胞増殖について検討した.10週齢雄性Wistar 系ラットの頭蓋冠に直径7mmの骨欠損部を形成後,SWCNT膜で被覆した.術後8週で周囲組織とともに摘出し,マイクロCTを用いて観察するとともに,非脱灰標本を製作して組織学的に検索した.SWCNT膜で被膜した骨欠損部には骨形成を示す不透過象が観察された.SWCNT膜周囲には炎症反応は観察されず,膜上面は薄い線維性結合組織で被覆されていた.膜の下面には,コントロール群(非被覆群)に比較して活発な新生骨の形成が認められた.NIH/3T3の増殖率は,MC3T3-E1の増殖率と比較して低い値を示したことから,線維芽細胞の増殖を抑制する可能性があることが推察された.以上の結果より,今回製作したCNT膜は,遮蔽性を有し,起炎性が低く,骨形成を促進することが示された. 2.光照射によって薬剤を徐放させるカーボンナノホーンの開発 カーボンナノホーン(CNHs)を, ミノサイクリン(MC)を分散媒として水溶液中に分散させると,分散液中ではMCがCNHsに付着していることが明らかになった.一方で,このMC/CNHsに近赤外光を照射し,薬剤の除放量や静菌作用について確認したところ,光照射による薬剤の徐放量は微量であった.この理由として,CNHsに対してMCが強力に付着していることが推測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,1. 担持した薬剤や成長因子の徐放を制御する方法を確立し, CNMsのインテリジェント化を図り,インテリジェントカーボンナノマテリアル(i-CNMs)を創製すること.2. デンタルインプラント,GBR膜など使用用途に応じたCNMsの選択とその処理方法を確立し,動物実験にて安全性と効果を検討する.さらに,これらを統合することによりi-CNMsとデンタルインプラント,骨補填材,GBR膜からなる革新的口腔領域用生体材料を開発することが目的である. 本年度はCNTを膜化することに成功した.このCNT膜は非吸収性で強度が高く,遮蔽性を有し,起炎性が低く,骨形成を促進するためGBR膜への応用が期待された.CNT膜には,成長因子等のタンパクを担持させることも可能であり,GBR膜としての新たな可能性が示唆された.この結果を用いて,特許出願を行った.また,CNHsに薬剤や成長因子を担持させ徐放を制御する方法を確立し,CNHsのインテリジェント化を図るためにCNHsとMCを用いて研究を行った. MC/CNH複合体は,MCを徐放すること,またMCと同等の細菌増殖抑制活性を維持していることが明らかになり,CNMsのインテリジェント化を達成することができた.i-CNMsを.この結果はCarbon誌に掲載された.一方で光照射による薬剤の徐放については,さらなる検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、CNT膜に成長因子(BMP,FGFなど)を担持させ,徐放性を制御するとともにさらなる骨形成の促進を図る.これまでに,非吸収性のGBR膜で成長因子を担持できるものはないため,全く新しい生体材料への応用が期待される.また,CNT膜埋入後のCNTsの体内動態についてラマン顕微鏡を用いて検索し,生体材料としての安全性を評価していく. 近赤外光照射によるCNHsからの薬剤の徐放効果を高めるためには,CNHsに光増感剤を結合させる予定である.この,光増感剤CNHsに近赤外光を照射することによって,薬剤の除放が制御できるのみならず,発生した一重項酸素による殺菌作用も期待できる.まず,光増感剤CNHsを用いた殺菌作用と線維芽細胞の増殖や周囲組織への影響を評価する.その上で光増感剤CNHsに成長因子や抗生剤を結合させ,その効果を評価する.さらに,インプラント周囲炎治療のための一時的な使用を目的として,この光増感剤CNHsを泳動電着したアバットメントを開発する.CNHsをチタン表面に泳動電着する方法については,本年度にArtificial Cells, Nanomedicine, and Biotechnology誌に発表しており,アバットメント表面の修飾にも応用が可能である.以上により,i-CNMsとデンタルインプラント,骨補填材,GBR膜からなる革新的口腔領域用生体材料の開発を推進する.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Carbon nanohorn coating by electrodeposition accelerate bone formation on titanium implant2021
Author(s)
Takada Sari, Hirata Eri, Sakairi Masatoshi, Miyako Eijiro, Takano Yuta, Ushijima Natsumi, Yudasaka Masako, Iijima Sumio, Yokoyama Atsuro
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Journal Title
Artificial Cells, Nanomedicine, and Biotechnology
Volume: 49
Pages: 20~29
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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