2021 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity and similarity of neural representation associated with conscious experience of color
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19H04198
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平松 千尋 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30723275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 修 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20282519)
元村 祐貴 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50645273)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 色覚 / 主観的感覚 / 多様性 / 遺伝子 / 脳波 / カテゴリ化 / ハードプロブレム / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の仮説では、顕著性の高い色と低い色の検出課題において、多数派の色覚である一般的な3色覚を持つ人々と少数派の色覚を持つ人々の間では、顕著性が反転するため、脳波の振幅や潜時が単純に逆転すると予想していた。しかし、脳波実験の結果、予想外の新たな知見が得らえた。少数派の色覚を持つ人々において、刺激提示中の予想よりも早い潜時に、頭頂付近の電極から顕著性が低い刺激に対し、選択的な神経応答が見られた。検出課題のパフォーマンスは色覚型間で大きな相違はなかったことから、少数派の色覚を持つ人々は特に顕著性が低い刺激に注意を向けることで課題を達成していたと考えられる。同じ色を見て同じ課題を行っている際にもその背後にある神経活動は色覚によって異なり、少数派の色覚特性を持つ人々において特に高い注意を反映する神経活動が見られたことは特筆に値する。 色覚に関連する遺伝子解析実験に関しては、文部科学省科学研究費助成事業「先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム」の支援を受け、Illumina社の次世代シークエンサーおよびNanopore社の第三世代シークエンサーによる一般3色覚を持つ一名の全ゲノムDNA塩基配列データを取得した。本研究で進めているCRISPR-Cas9システムによるターゲットシークエンスの結果と比較し、解析コストの安定化と精度の精緻化を図り、連続的な色覚多様性の背景にある遺伝的要因の解析に応用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標の第一段階である、「同じ色刺激に対する神経応答が色覚の違いにより異なることの裏付け」についての研究が、昨年度はコロナウィルス感染防止対策による研究活動の制限で遅れが出ていたが、今年度に入り大幅に進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、同じ色刺激に注意を向ける課題において、色覚型の違いによる神経活動の違いが確認された。少数派の色覚を持つ人々の多くにおいて、早い潜時で注意の高まりを反映するとみられる脳波成分が観察された。一方で、この課題におけるボタン押しの反応速度には色覚型による顕著な違いは観察されなかった。これらのことは、同じ課題を行っている際、行動には反映されない、個々の色覚や個人に特融の神経活動の特徴があることを示している。この知見をもとに、今後は色のカテゴリ化に関する新たな課題を設定し、行動や言語報告では検出できない神経活動の特徴量の違いを機械学習の手法を用いて抽出し、主観的感覚の背後にある多様な神経活動についての理解を深めることを目標とする。 同時に、連続的な色覚の多様性の背後にある遺伝的要因をゲノムレベルで解析する手法についても引き続き手法の洗練化を目指す。
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Research Products
(6 results)