2020 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of abrupt climate change in hothouse climate state from lacustrine varve record
Project/Area Number |
19H04256
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長谷川 精 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (80551605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 豊穂 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)
山本 正伸 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (60332475)
太田 亨 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40409610)
勝田 長貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377985)
村山 雅史 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (50261350)
山田 圭太郎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (30815494)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 白亜紀 / 急激な気候変化 / 湖成層 / 年縞 / 温室期 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,年縞を保存する湖成層であるモンゴルの白亜系シネフダグ層を対象として,白亜紀「温室期」の気候変動を数年~数十年の時間スケールで詳細に復元し,極端な温暖化が進行した後の気候安定性を考察することを目的とする。本研究では,①XRFコアスキャナー(ITRAX)を用いた無機元素組成変動の解析,②蛍光顕微鏡による夏季藻類生産量の復元,③微小カルサイト層の微量酸素同位体比測定による湖水質変動の復元,④古細菌バイオマーカーに基づく古水温指標(TEX86)の各種解析に基づき,白亜紀「温室期」の急激な気候変化の実態解明を試みた。 昨年までの検討により、④古細菌バイオマーカー(TEX86)は幾つかの試料からは分析値が得られたものの、高解像度解析の対象としたCSH01コアのサンプルには適用できないことがわかった。そこで本年度は炭酸塩の炭素・酸素同位体比測定の注力し、2.5cm毎に分割したバルク試料の炭素・酸素同位体比測定を行い、①の無機元素組成変動との対応関係を調べた。その結果、Ca/Ti比と炭素・酸素同位体比の良い相関が見られ、高いCa/Ti比を示すドロマイト層準が乾燥気候下の塩湖環境で沈殿したとする解釈をサポートする結果が得られた。さらに③年縞ラミナレベルの同位体比測定を進め、②の蛍光顕微鏡解析に基づく夏季藻類生産量復元の結果との比較検討を行った。その結果、冬季層で炭素・酸素同位体比が軽く、夏季の藻類生産期に炭素・酸素同位体比が高い明瞭な結果が示され、バルク試料の同位体比分析の結果と整合的な結果が見られた。これらの結果から、CSH01コアの酸素・炭素同位体比の変動は、数年~数百年オーダーの降水量変動の指標となることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,①の無機元素組成変動の成因を探る為、CSH01コアを2.5cm毎に分割したバルク試料の炭素・酸素同位体比測定を行い、無機元素組成との対応関係を調べた。その結果、Ca/Ti比と炭素・酸素同位体比の良い相関が見られ、高いCa/Ti比を示すドロマイト層準が乾燥気候下の塩湖環境で沈殿したとする解釈をサポートする結果が得られた。 本年度はさらに③の微量炭酸塩安定同位体比測定システムと高精度マイクロミルを用いることで,シネフダク層のCSH01コア試料の年縞ラミナレベルの炭素・酸素同位体比測定に注力した。年縞ラミナの微小領域切削を行い,夏季層と冬季層を分離して炭素・酸素同位体比を測定した結果,夏季層で炭素・酸素同位体比が重く,冬季層で軽いという線形の関係性が得られた。以上の結果から、CSH01コアの酸素・炭素同位体比の変動は、数年~数百年オーダーの蒸発量/降水量変動の指標となることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,昨年度に引き続き①と②と⑤の研究を代表者が中心になって継続する。特に,XRFコアスキャナー分析の対象をより長期間(約60万年区間)に延長し、バルク試料の炭素・酸素同位体比測定とも合わせることで古環境変動データの解析を進め,千年スケールの変動と地球軌道要素変動との関係性を探る予定である。また分担者の石村と共同で行う③に関しては、本年度の分析により夏季層と冬季層の同位体比組成の関係が見られたため、今後は分析数を増やして解析を進める。以上の研究を推進し、白亜紀「温室期」の気温と降水量の変動を超高時間分解能(数年~数十年解像度)で復元し,現在よりも大気CO2濃度が高く,極域氷床が存在しない「温室期」の気候モードにおける急激な気候変化の実態や,発生メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Non-marine paleoclimatic response of Early-Middle Eocene “hothouse” interval evidence from a lacustrine record of the Green River Formation in Utah, USA2020
Author(s)
Kuma, R., Hasegawa, H., Yamamoto, K., Ikeda, M., Yoshida, H., Katsuta, N., Whiteside, J. H.
Organizer
JpGU-AGU2020
Int'l Joint Research
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