2020 Fiscal Year Annual Research Report
有機系微粒子スラリーのケミカルフリーな固液分離技術の開発による廃棄物の資源化
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19H04313
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00583709)
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 直流電場 / 多層傾斜板電極 / 粒子凝集 / 旋回流濾過 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機系微粒子の電場による凝集、分離装置の開発については、粒子の泳動方向を一方向に限定した分離装置による実験を行った。多層傾斜板電極は通常プラス電極、マイナス電極が交互に配置されているため、隣同士のセル内では粒子が逆方向に泳動する。従って、半分のセルにおいて粒子の沈降方向と泳動方向が逆になっており、ここが分離効率の低下をまねいていた。そこで、半分のセルについて電極間距離を極端に狭くし、かつ間を絶縁体で埋めスラリーが入らないようにすることで、粒子の泳動方向が同一となるセルのみを利用することとした。以上のようなコンセプトに基づき、粒子の泳動方向を一方向に揃えることができる多層傾斜板電極を開発した。この開発した傾斜板電極を用いてスラリーの凝集・分離試験を行ったところ、これまでの電極よりも粒子の沈降分離時間が短縮され、分離効率を向上させることができた。 旋回流濾過においては、クロスフロー濾過による分離濃縮技術の効率向上のため、求心式クロスフロー濾過ユニットを作製した。作製したユニットの分離メカニズムの解明のため、求心式濾過ユニットを用いてスラリーの分級を行い、運転条件が分級精度に及ぼす影響について検討を行った。また、分級ユニット内の粒子の運動について非常に単純な力のバランスのみからなる分級モデルを構築した。分級試験結果とモデルから算出した理論カット系を比較したところ、実験結果と高い整合性があることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電場による粒子凝集・分離実験において、申請段階では構想されていなかった泳動方向を一方向に下限定した多層傾斜板電極を開発することができた。旋回流濾過では分離粒子径に関するモデルを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
泳動方向を一方向に限定した多層傾斜板電極による粒子凝集・分離実験においては、スラリーを連続的に供給しながら、凝集分離できる装置を開発し、連続運転の条件が分離効率に及ぼす影響を定量的に検討する。 旋回流濾過においては引き続きスラリー条件、運転条件が分離効率に及ぼす影響を定量的に検討する。 以上の研究をまとめ、有機系微粒子スラリーの高効率なケミカルフリー粒子分離回収システムについて提案する。 2020年度に構築したモデルの整合性については非常に希薄な系での確認に留まっている。実用性を考えた場合、より高濃度な系への適用を検討する必要がある。また、実プロセスではスラリーが必ずしも良分散状態ではなく凝集傾向の場合もあり、これにより理想的な分離が行えない可能性がある。このため2021年度は実プロセスへの応用の観点から、スラリー濃度が求心式濾過の精度に及ぼす影響および求心式ユニットで安定した分離が可能なスラリーの分散状態について検討を行う。
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Research Products
(6 results)