2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on microplastics generation from industiral materials and its solution
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19H04327
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 裕文 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60325511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 良二 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (00522103)
小宮 哲平 九州大学, 工学研究院, 助教 (20457451)
島岡 隆行 九州大学, 工学研究院, 教授 (80202109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産業用資材 / プラスチック / マイクロプラスチック / マイクロプラスチック・ファイバー / 不織布 / 促進劣化 / 摩耗強さ / 引張強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2つの研究成果を得た。一つは、農業、漁業、建設業において、産業用資材として使用されているプラスチック製品に着目し、マテリアルフローを推定するための基礎的なデータを収集し、産業別、製品別にデータを整備したことである。もう一つの成果は、産業用資材のうち、防草シート、遮光性保護マット、吸出防止材等の用途で建設分野で大量に使用されているポリエステル製の不織布を用いて促進劣化試験を行い、マイクロプラスチック・ファイバー(MFs)の発生量を定量するための手法の検討と精度評価を実施したことである。 前者のマテリアルフロー推定については、2011年、2015年産業連関表および物量表を用い、農業、漁業、建設業の産業別プラスチック資材使用量を整理した。次に、製品別使用量として、農業分野では、農業用フィルム、漁網、漁業分野では、漁業資材ロープ、フロート、ブイ、建設業分野では、建材用プラスチック、不織布、遮水シート、フレキシブルコンテナバッグ、土嚢袋、ブルーシート等の使用量を、各種統計資料、協会やメーカ等へのヒアリング調査により収集、整理した。 後者については、防草シート、遮光性保護マットとして使用されている不織布を用い、カーボンアーク灯を光源とした耐光試験機を用いた促進劣化試験(2年相当)を行った。促進劣化後のサンプルを用い、JIS日本工業規格一般不織布試験法(JIS L 1913 : 2010)に従い、引張強さおよび摩耗強さを測定した。摩耗試験により脱離したMFsを定量するため、重量計測および顕微鏡観察に基づくMFsの定量法を比較し、顕微鏡観察に基づくMFsの定量法は一定の精度を有することを確認した。摩耗試験後のMFsの脱離量は、防草シートが1,241mg/m2, 遮光性保護マットが471mg/m2であり、促進劣化試験前と比べそれぞれ33mg/m2, 67mg/m2増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展していると判断するが、以下の課題がある。本年度実施した2つの研究(産業用プラスチック資材のマテリアルフロー推定、産業用プラスチック資材のうち不織布から発生するマイクロプラスチック・ファイバー(MFs)の定量)について、前者は産業別、製品別のマテリアルフロー推定を実施したが、得られた結果の検証が十分ではない。そのため、他の研究結果との比較等を通じて、推定結果の信頼性向上が必要と考えている。また、後者については、促進劣化が2年相当と短期間であるため、10年程度まで促進劣化期間を延ばす必要があるとともに、他のプラスチック資材についても評価を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、次に示す2点を考えている。まず、産業用プラスチック資材に関するマテリアルフロー推定については、関係省庁、協会、団体の既存統計資料では把握できる量に限界があることが分かった。そのため、アンケート調査、ヒアリング調査の対象規模を拡大し、ライフサイクルの各段階(原料調達、製品製造、使用、施工等)における関係団体に調査を行う。 また、産業用プラスチック資材から発生するマイクロプラスチック(MPs)、マイクロプラスチック・ファイバー(MFs)の量を把握するため、各種製品の促進劣化試験により耐候性評価を行う。促進劣化試験をより短時間で実施するため、これまで用いたカーボンアークランプではなく、メタルハライドランプを利用した超促進耐候性試験機を用いた促進劣化試験を実施することを予定している。
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Research Products
(1 results)