2019 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄社会の再建と「引揚げエリート」―台湾・満洲の「専門職引揚者」を中心に
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19H04357
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野入 直美 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (90264465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 量 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (20587753)
蘭 信三 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30159503)
西崎 純代 立命館大学, 国際関係学部, 助教 (30802110)
菅野 敦志 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (70367142)
八尾 祥平 上智大学, 総合グローバル学部, 研究員 (90630731)
中村 春菜 琉球大学, 人文社会学部, 講師 (80846866)
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 引揚エリート / 沖縄引揚 / 台湾引揚 / 満洲引揚 / 引揚者在外事実調査票 / 専門職移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2回の研究会を行い、研究計画うちあわせ、調査倫理とデータ共有についての周知、与那国島における台湾女性引揚者の戦後キャリアについての研究報告、台湾沖縄引揚者をめぐる研究動向についての研究報告、引揚者在外事実調査票を用いた引揚者の階層と職業移動の分析についての研究報告がなされ、満洲引揚げ2世当事者によるゲストトークが行われた。 著作としては、蘭信三・川喜田敦子・松浦雄介編著『引揚げ・追放・残留』が名古屋大学出版会から上梓され、野入(研究代表者)は「「引揚げエリート」とは誰か?」と題した本科研の基調となる論考を公表することができた。同書において、蘭(研究分担者)は序章で「引揚・追放・残留の国際比較・関係史に向けて」を論じた。 論文では、西崎(研究分担者)が洋雑誌に招待論文を、菅野(研究分担者)が査読有の論文を刊行した。 学会発表では、八尾(研究分担者)が国際学会で招待発表を、西崎が国内学会で招待発表を行った。 調査研究もほぼ予定どおりに実施された。沖縄本島では戦後、パイン産業にたずさわった台湾引揚者の調査と、製糖業をめぐるハワイと沖縄の人の移動と産業にかかわる研究、那覇市歴史博物館に所蔵されている川平家資料の文献調査が行われた。沖縄県内離島では、女性引揚者の戦後キャリア、琉球官兵の戦後における引揚記憶への関与についての調査が行われた。ただし、3月に予定されていた沖縄県内での調査研究が、新型コロナウィルス感染症の流行による渡航自粛で延期を余儀なくされた研究分担者もいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な準備と打ち合わせを行った上で申請した研究計画が採択されたので、ほぼその通りに進捗している。研究分担者、研究協力者はすでにこの研究領域において蓄積と人的資本、研究に必要な設備を有しており、本科研の新たなテーマにそれぞれが取り組んでいる。ただし、3月に予定されていた調査が新型コロナウィルス肺炎の流行による沖縄渡航の自粛により中止になった研究分担者もいて、2020年度以降の研究計画の見直しを迫られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、少なくとも夏季までは調査をみあわせ、すでに収集したデータの入力・分析と文献研究にあてる。沖縄県の引揚者在外事実調査票データのランダムサンプリングと入力、基礎分析を行い、今年度中に沖縄台湾・満洲引揚者の戦後の階層と職業移動についての暫定的な分析結果を出す。夏季はオンライン研究会で、糖業をめぐる台湾・沖縄・ハワイの人の移動と産業化についての報告などを行う。冬季に予定している台湾フィールドワークと研究会、台湾大学の研究者との交流については、今後の状況をみて、必要に応じて来年度に延期する。
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Research Products
(6 results)