2020 Fiscal Year Annual Research Report
BL等の表現の国際的な広がりと、各国での現実のLGBTとの社会的関係の国際比較
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19H04388
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤本 由香里 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (50515939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 仁 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (40601810)
ウェルカー ジェームズ 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (40710174)
長池 一美 大分大学, 国際教育研究推進機構, 教授 (90364992)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LGBT / BL / 表現と現実 / 社会学的意識調査 / 伝播と変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
■2020年度は、石田を中心に、BLの読者と非読者を対象にした国内の社会学的意識調査を集中して行った。翌年、結果を解析。2022年度初頭に簡易報告書を開示した。 ①ジェンダー平等感覚や性的マイノリティへの寛容さなどを、BLの読者と非読者で比較。20~59歳の女性を対象としたインターネットモニタを対象とするクローズド型ウェブ調査で、予備調査をもとに「20~30代BL読者/非読者」「40~50代BL読者/非BL読者」を各400サンプル、計1600サンプルになるように割り付けた。 ②加えて、同サンプル数を目標にゲイ・バイ男性対象にオープン型ウェブ調査も行い、ジェンダー平等感覚やBLに対する意識などをたずねた。対象は18歳以上のゲイ・バイセクシュアル男性。GPSアプリ、各種SNSなどの誘導広告で調査への参加を依頼。有効回答数は4041人、そのうち「BL読者」は2538人だった。 ■一方、海外調査に関しては、コロナのため、予定していた海外調査・発表はすべて中止となり、翌2021年も調査対象イベント中止が判明したため、調査対象をタイに変更。これも21年度は実現しなかったが、22年度には専門家による複数回のレクチャーを事前に受けた結果、BLの送り手・受け手に対する充実したインタビュー調査を行うことができた。また、藤本・長池・石田はチュラロンコン大学にて、藤本・長池はバンコクの国際交流基金で研究発表も行った。 ■また、香港の国際学会で「ジェンダー二元論を超えて」というパネルを発表予定だったが、開催が二転三転し、結局、2021年度に発表。また、藤本企画・司会の日本マンガ学会の全体シンポジウム「BLとメディア」も開催が延期となり、翌2021年に実施された。一方、出版関係は順調で、共著『BLの教科書』を出版。ウェルカーはMechademiaの特集“Queer(ing)”の責任編集・執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
■2020年度に予定していた国内の社会学的意識調査に関しては、予定以上のサンプル数の調査を行うことができ、非常に順調に推移したと言える。 ■しかし、2020~21年度は世界中でコロナが猛威を振るい、各国が厳しい入国制限をしき、調査対象イベントもことごとく中止になったため、海外調査を行うことは不可能になった。2019年度に予定以上の調査を行っていたことと、2022年度にはいくつかの海外調査を行うことができたこと、とくにタイでは充実した調査ができたことは何よりだったが、予定していたのに調査できなかった国が残ってしまっている。 ■また、本来、2022年度が研究の最終年度であり、この年にまとめの国際学会を開く予定だったが、2022年11月に日本国内の感染者数が世界でも突出した数字を示したことから、国際学会出席の内諾を得ていた複数の海外研究者から出席を見送りたいという申し出があり、最終まとめの国際学会は、2023年11月に延期して実施することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
■2020年度の予算はコロナのため再繰り越しして22年度で決算したが、2022年度に開く予定だった最終まとめの国際学会は、2023年度11月に延期して開催することになった。そのため、2023年度は、この国際学会の開催がメインとなる。開催は2日間、タイの実写BLとLGBTとの関係を扱う「Thai Day」と、さまざまな国を扱う「International Day]の2日間に分けて開催する予定である。今後詳細を詰めることになるので、変更がある可能性はあるが、具体的には、次のようなテーマとプログラムを予定している(すでに内諾を得ている人も多いが、タイトルの確定がこれからなのと、まだ交渉中の方もいるため、科研メンバー以外の発表者の具体名は差し控える)。 ①Thai Day: Key Note Speech/タイBL受容史/タイ実写BLの展開/タイの「カップリング文化」/東南アジアとタイBLのファンコミュニティ(長池一美)/日本のタイBLファンコミュニティと受容の変容 ②International Day: これまでの調査の概要報告(藤本由香里&ジェームズ・ウェルカー)/LGBTとBLファンの協働・各国の事例(フランス/Y-CON、メキシコ/Oops! Summer Festa、フィリピン/BLUSH)/BL読者・非読者の差異に関する国内の社会学的意識調査結果報告(石田仁・佐藤麻衣)/『ロマンJUNE』におけるBLファンとゲイ当事者の共同空間(藤本由香里)/中国の「偽腐」について)/シス・ヘテロ(いわゆる多数派)でない海外のBLファンに関する比較研究(ジェームズ・ウェルカー) なお、この国際学会の記録は、できれば日英両言語での出版を考えている。 ■また、2023年には、コロナにより3年にわたって中止されていたドイツのYAYUCOの調査も行い、藤本とウェルカーはそこで発表する予定である。
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Research Products
(38 results)
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[Journal Article] Yuri2020
Author(s)
ジェームズ・ウェルカー
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Journal Title
Japanese Media and Popular Culture (An Open-Access Digital Initiative of the University of Tokyo)
Volume: 1
Pages: ー
Open Access
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