2020 Fiscal Year Annual Research Report
地方大学における総合的な地域資料の展示公開モデルの構築
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19H04410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (40350988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
加藤 諭 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (90626300)
市川 紘司 東北大学, 工学研究科, 助教 (60757855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大学博物館 / 博物館学 / 地域資料 / 建築史 / アート / 展示デザイン / キュレーション / 芸術祭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学の博物館や地域資料を扱う博物館の国内外の事例を調査し、空間と展示のデザインという視点を織り込みながら、地域資料の展示公開モデルを探ることを目的としている。 ただし、2020年度はコロナ禍と直面したために、予定していた海外調査はすべて中止とし、国内調査もわずかに実施したのみとなった。代わりに力を入れたのは、研究者、学芸員、デザイナーらとの研究会を数多く開催することだった。具体的には、地方の学芸員(野林厚志、小金沢智)、アーカイブ研究者(齋藤歩)、美術・建築の批評家(暮沢剛巳、謝宗哲)、展示研究者(三宅拓也、菊地尊也)、展示デザイナー、(木下史青、吉野博ら)、地域資料を活用するアーティスト(伊達伸明、上田假奈代)との研究会を開催し、レクチャーの後に討議や意見交換を行った。もっとも、コロナ禍のため、東北大に招聘しての対面での実施は難しく、ほとんどの回はオンラインによって実施した。様々な視点から、資料を効果的に活用する知見を数多く得ることができた。 なお、一時的にコロナ禍が落ついたタイミングでのみ、研究メンバーは現地調査を実施した。八戸市ではいくつかの文化施設や開館予定の美術館、十和田市では現代美術館を訪問し、学芸員や市の担当者からヒアリングを行うことができた。 実践的なプロジェクトとしては、以下のものを実施した。仙台藝術舎CREEKと協同し、地元のアーティストが大学の資料に触発されて作品をつくり、それらを紹介する企画として、「宛先のない作用 #0:ダイガクにねむるモノにまつわるゲイジュツ」展(2020年10月1日-12日)を仙台フォーラスの7階において開催した。また大学の研究者へのヒアリングを抜粋したテキスト、土器の3Dプリントによる複製なども、あわせて展示することで、大学博物館、地域資料、 アートの相乗効果を生みだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
博物館の研究において、現場の展示状況を見ることは重要であり、2020年度も引き続き行う予定だった。しかしながら、コロナ禍によって、国内外の調査がほとんど実施できなかったために、遅れが生じている。ただし、オンラインを通じての研究会を数多く開催することによって、十分な知見を得たことは大きな収穫だった。また小規模ながら、展示モデルを構築するためのステップとして、大学の研究者とアーティストのコラボレーションにより、「宛先のない作用 #0:ダイガクにねむるモノにまつわるゲイジュツ」展を開催したことは最終年度のプロジェクトへの重要な布石となった。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の調査については、遅れをとり戻しつつ、注目すべき試みを行っている博物館などを調査する予定である。研究会は、引き続き開催し、さらに国内外の事例を収集していく。しかし、新型コロナ・ウイルスの影響が懸念されるので、状況をみきわめながら、フレキシブルに対応する。これまでの資料を整理しながら、今後の展示モデルを探るプロジェクトの実現に向けて、諸機関と調整を進めていく。
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Research Products
(8 results)