2019 Fiscal Year Annual Research Report
An Interdisciplinary Study on Building a Collaborative Evacuation Behavior Planning System for Vulnerable People to Heavy Rain
Project/Area Number |
19H04419
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川島 宏一 筑波大学, システム情報系, 教授 (00756257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅本 通孝 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10451684)
有田 智一 筑波大学, システム情報系, 教授 (90344861)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害対策 / 豪雨災害 / 避難弱者 / 避難行動要支援者名簿 / 避難行動計画 / 個人情報 / データ共有 / 共助 |
Outline of Annual Research Achievements |
頻発化する豪雨災害から高齢者等避難弱者をいかに守るかが重大な社会課題となっていることを踏まえ、本研究は、これまで分野別に取り組んできたデータ共有管理、避難工学、都市計画と政策法務の研究者が連携し、コミュニティ主体で避難弱者の支援を含む共助的な避難行動計画づくりシステムの構築方法を明らかにすることを目的としている。
研究実施計画では、初年度(2019年度)において、1)避難弱者の避難行動の支援対策に関する各分野(データ共有管理、避難工学、都市計画、政策法務)の既往研究レビューと2)自治体の避難行動要支援者対策状況の類型化と課題整理のために全国自治体実態調査を実施することとしていた。前者については、予定通り実施できたが、後者については、台風19号が関東東北地方に甚大な被害を及ぼし自治体の受入体制が整わなかったことから、2020年度に繰越して実施した。また、実態調査実施に当たっては、災対法に基づく避難行動要支援者名簿が有効活用されていない点に着眼し、有効活用の障害となっている要支援者の本人同意を不要とする条例を定めている先進自治体に対象を絞って、条例制定の際の課題・課題克服のための工夫等を調査した。
その結果、1)については、災対法を基軸として、従来から、4つの各観点から議論が展開されているが、必ずしも十分な連携が図られていないこと、また、データ共有に関する議論は他分野の議論との連携が緒についたばかりであることを確認できた。また、2)については、①条例制定の際、市役所内関連課の調整や市民への制度趣旨の周知等に時間を要するといった課題に直面したが,組織横断チーム編成や市民との意見交換会により課題解決を図っていること、②名簿情報の活用の際には、要支援者の避難困難度に応じた本人同意の取得方法や地域団体等への名簿の提供方法等において現場実情に応じた工夫をしていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、研究実施計画では、初年度(2019年度)において、1)避難弱者の避難行動の支援対策に関する各分野(データ共有管理、避難工学、都市計画、政策法務)の既往研究レビューと2)全国自治体の避難行動要支援者対策状況の類型化と課題整理のために全国自治体実態調査を実施することとしていた。
前者1)については、予定通り実施できたが、後者2)については、初年度(2019年度)に「全国自治体の避難行動要支援者対策状況の類型化と課題整理のために全国自治体実態調査」を実施予定であったが、台風19号が関東東北地方に甚大な被害(死者104人)を及ぼしたために、自治体の実態調査受入体制が整わなかったことから、2020年度に繰り越して実施せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画では、昨年度(2020年度)実施予定であった「4つの切口(1データ管理、2避難工学、3都市計画、4政策法務)からデータ活用先進 国(英の Open Data Institute・独の Open Knowledge Germany・米のニュージャージー州 政府危機管理局等)の災害弱者支援策、特に個人情報シェアリングの最新状況の把握と情報連携の観点から見た弱者支援の阻害要因分析とその解決策の検討」と本年度(2021年度)実施予定の「4つの切口の融合を踏まえたコミュニティ主体の共助型避難行動計画づくりシステム・モデルの作成」を本年度に併せて行うこととなる。
前者については、新型コロナ禍の影響を受けて現地調査が困難であると想定されることから、現地機関のホームページ上の情報収集、オンライン会議やメールによる情報収集が中心となることを想定しています。後者については、本年(2021年)5月10日に成立した改正災対法が避難行動要支援者の支援を確からしめるための個別避難計画の作成を市町村長の努力義務としたことを踏まえて、個別避難計画の作成促進に重大な関心を有している自治体と協力して、実際の個別避難計画作り支援を行いながら、コミュニティ主体の共助型避難行動計画づくりシステム・モデルを作成することとしている。
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