2019 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation of scholarly communication in the era of open science
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19H04423
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
倉田 敬子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (50205184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 麻実子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (10359581)
上田 修一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (50134218)
山地 一禎 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50373379)
三根 慎二 三重大学, 人文学部, 准教授 (80468529)
宮田 洋輔 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90568081)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学術コミュニケーション / オープンサイエンス / オープンアクセス / デジタルメディア / 研究プロセス / 研究データ / プレプリント / 研究データ管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
3つのアプローチのうち,1)オープンサイエンスに関連する政策,動向を把握し,全体状況に関して情報を共有するとともに,研究データの再利用状況,研究データ管理に関して学会等で成果を発表した。 2)マクロな動向把握として,以下の調査を実施した。①OAの現状を明らかにするため,購入したWeb of Scienceデータから2018年刊行の3000件を対象に,GoogleとGoogle ScholarでOAであるかどうかを2020年1月から調査を開始した。アルバイトによる一次調査は終了し,現在結果を確認しつつOA種別の分析を行っている。②プレプリントサーバの調査を行い,50件の存在,約400万件のプレプリントの登録が確認された。③研究データの本文での記載,再利用状況調査として,WoSの2018年刊行論文から1000件を抽出し,研究方法と利用されている研究データの種別の類型化,他研究データの利用状況を分析した。④1995~2018年の5時点での各3000件の論文データから分野別,著者の国別,出版社別の動向を調査した。中国の論文数の増加は2010年以降急激で2018年に世界1位となり,三大出版社の占める割合は2018年度で38%となった。⑤デジタルスキルの現状を把握するため,OECDのオープンデータを利用した国際比較調査を実施した。結果は日本の学会で発表し,学会誌に投稿した。 3)ふたご研究のミクロ調査としてインタビュー調査2回,研究会に3回参加した。研究データの再利用の手続きやサイトが存在する一方で,個別の利用に関しては研究者の間で意識の差があることがわかった。このプロジェクトとは別に,研究者の情報行動の新しい動向として注目されている学術ソーシャルメディアであるResearchGate(RG)の日本人の利用動向に関して分析を行い,その結果は国際共同研究としてASISTの年次大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オープンサイエンスに関連する動きは非常に活発かつ急激であり,動向把握としては当初の予定通り行っており,学会等でも招待講演を含め発表しているが,今後より幅広くその成果を共有していくのにどのような方法をとればいいのかが課題となりつつある。 マクロな動向把握に関しては,計画していたOA調査は多少遅れているが今年度分析をして成果を発表できる見通しである。研究データの記載・再利用調査は対象やアプローチを大きく変更してより大きな文脈に位置づけた結果が得られそうであり,予定以上の進展といえる。プレプリントの調査はほぼ予定通り,過去から現在までの論文の基本的な分析は予定通り終了した。デジタルスキルの調査は予定にはなかったが非常に順調に進み成果を公開できた。 ミクロな研究プロジェクト調査は,対象とするプロジェクトが個人情報の観点で非常にセンシティブなため,学内の研究倫理を通すのに時間がかかり,また対象とする研究者との時間の調整が難しく,当初の予定より遅れている。特に研究者とのコンタクトがとれると期待していた3月がコロナウィルスの影響で全く調査を実施出来なくなった。ミクロな調査ではないが,研究者の行動,認識の調査として当初予定していなかったResearchGateに関する日本人の調査結果の再分析を行い,国際共同研究として国際学会で発表できたことは,大きな進展といえる。 以上,予定通りの進展,予定より遅れている結果,予定にはなかったが進展した状況が混在しているが,総合的には順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体の政策,動向の把握に関しては,共同研究者間での情報共有をより進めるために,いくつかのテーマを決めて全体会議の毎回発表してもらうことと,集めた情報をまず内部で共有しできればそれを広く公開できるシステムの構築を検討する。 マクロな動向に関しては,OA調査と研究データ記述・再利用調査に関しては,分析および成果発表までの道筋がほぼ見えているため現状のままとする。プレプリントサーバ調査に関しては,分野を絞ってマクロなデータからの調査だけでなく,プレプリントサーバ設置に関わる人へのインタビュー調査なども組み合わせて,現状および今後の進展に関してより深い洞察が可能となるよう調査方法を一部変更する。雑誌,出版社の構造調査に関しては,基本的なデータ分析は終了したものの新たな知見といえるところまで分析が進んでいないため,他の情報源からのデータ収集も試みて,研究枠組みの再設定を行うこととする。 マクロな研究動向調査として,今回のコロナウィルスに関連する研究論文を事例として,オープンアクセスの新しい動向となるかどうかの調査を追加で行うことを検討する。 ミクロな研究プロジェクト調査は,現在のコロナウィルスによるキャンパス閉鎖が続く状況では予定通りのインタビューや,研究会への参加はほぼ無理と考える。まずは既存のふたごプロジェクトでの成果を発表している論文における研究データ分析を行ったうえで,ウェブを通してのインタビュー調査の可能性を探ることとする。
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Research Products
(8 results)