2019 Fiscal Year Annual Research Report
Redefenition of Death in the Networked Society
Project/Area Number |
19H04426
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
折田 明子 関東学院大学, 人間共生学部, 准教授 (20338239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 裕志 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, チームリーダー (20134893)
大谷 卓史 吉備国際大学, アニメーション文化学部, 准教授 (50389003)
湯淺 墾道 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (60389400)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 死 / デジタル情報 / プライバシー / 不死 / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、多分野の研究者や実務家を招聘した研究会における討議、文献調査、ならびに死後のアカウントの扱いについてのアンケート調査を実施した。このうち、アンケート調査は予定の変更があったため2020年度に繰越した上で実施した。 研究会では、まず生物としてのライフスパンと情報としてのライフスパンの違い、ある集団における故人のプライバシーとGroup Privacyの関連、デジタル遺産をとらえる枠組みといった課題を取り上げた。続いてゲスト講演を前提とした研究会を3回実施した。1回目はオンラインのサービス利用契約における一身専属性について、法律の観点と実務上の課題について討議した。2回目は、「デジタル寺院」としてデータを永続的に残す課題について討議した。数十年以上にわたり、安全にデータを確保し、かつそのデータに対するアクセス権を担保することには大きな課題があった。3回目は、IT企業がユーザの死をどのように確認するか、実務上の現状と課題について討議した。デジタル終活として備えておくことが必要である一方、家族をはじめとする遺族には存在すら知らせないアカウントやデータがあり得ること、それらの扱いを定める必要性が明らかになった。 文献調査では、死後残されたデータの活用について、追悼や史料としての価値があり、プライバシー尊重のために削除することで失われることがあるということ、また、技術によって死後も残り続ける「デジタル不死」(Digital Immortality)が実現されつつあることが明らかになった。 アンケート調査では、複数のアカウントを持つ利用者は、メインとサブのアカウントでその存在を知る者が分かれていた。また、死後は配偶者や子どもにアカウントの処理を任せたいという意向が多数である一方で、世代や性別による違いも見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、発表を予定していた国際会議が中止や延期になり、研究発表や情報収集においてやや遅れがあった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は、多分野の研究者や実務家による研究会を継続し、故人のデータの扱いについて討議を進める。また、文献調査およびアンケート調査の結果を基に、故人の遺志を尊重しつつも遺族や社会にとって残すべきデータは何か、それは死においてどのように判断すべきかについて、社会的な合意、法的な観点、技術的な可能性について討議する。
|
Research Products
(7 results)