2020 Fiscal Year Annual Research Report
Holistic research on the spread and acculturation of early agriculture and the processes behind the establishment of herding societies in East Asia
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19H05593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60174207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (90534040)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 宇木汲田貝塚 / 弥生開始年代 / 弥生水稲農耕社会 / 東アジア青銅器文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年8月にモンゴルでのアブダライ・ヒューサー遺跡の発掘調査を行い、2020年10~11月に中国山東省楊家圏遺跡の龍山文化の水田遺跡の発掘調査を行う予定であった。しかし、コロナ感染症拡大のため、これらの海外発掘調査ができなくなったため、日本列島へ水稲農耕文化が最初に流入した佐賀県唐津市宇木汲田貝塚発掘資料の再整理調査を行った。これは研究代表者が提起する「東アジア初期農耕化第4段階」の過程を明らかにするものである。その結果、日本列島への灌漑農耕の流入時期を夜臼Ⅰ式であることを明らかにした。また、その段階の炭化米を年代測定することにより、紀元前9~8世紀が弥生時代の開始年代であることを確定した。これにより、学界で長い間論争があった弥生開始年代の問題を解決することができた。そして、これらの整理調査成果を報告書『宇木汲田貝塚―1966・1984年発掘調査の再整理調査報告書―』としてまとめ、出版した。その際、考古遺物の分析は研究代表者の宮本と学術研究員の松本が主に行った。また、炭化米の粒度分析は分担者の上條が行った。 さらに、研究代表者の宮本がこれまで行ってきた、東アジアにおける農耕社会の伝播・展開過程ならびに牧畜社会の広がりと展開に密接に関係する東アジアの青銅器文化の考古学的研究成果を、『東アジア青銅器時代の研究』雄山閣という研究書として出版した。 一方、令和元年に煙台博物館で実施した大仲家遺跡の土器圧痕分析のデーター解析を分担者の小畑が実施した。また、令和元年に実施したアブダライ・ヒューサー遺跡出土の古人骨の解析を分担者の岡崎が、歯牙のストロンチウム分析を分担者の米元が継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のモンゴル・中国での発掘調査は、コロナ感染症拡大のため実施できなかったが、その代替調査として行った宇木汲田貝塚の整理調査によって、日本農耕文化の始まりを明らかにし、さらに弥生開始年代を確定できたことは、大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症拡大が終息して海外調査が可能になれば、本来の計画であるモンゴルでの青銅器時代墓葬の発掘調査と中国山東での水田遺跡の発掘調査を実施する。
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Research Products
(16 results)