2019 Fiscal Year Annual Research Report
Nucleosynthesis under the extreme conditions in the universe
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19H05604
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川畑 貴裕 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80359645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
伊藤 正俊 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (30400435)
松田 洋平 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (50569043)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | トリプルアルファ反応 / 元素合成 / アクティブ標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
高密度環境下におけるトリプルアルファ反応率を決定するために、中性子ビームをMAIKoアクティブ標的に入射させ、検出ガスに含まれる炭素12核と中性子の非弾性散乱から放出される3つの低エネルギーアルファ粒子の三次元飛跡を測定し、その不変質量から炭素12核の励起状態を同定する技術の実証試験を行った。 大阪大学工学部の中性子工学実験施設において、d + t → 4He + n 反応から放出される14 MeV の中性子ビームをMAIKoアクティブ標的に照射し飛跡データを取得した。飛跡データからアルファ粒子のエネルギーと放出角度を決定し、炭素12核の励起エネルギースペクトルを得てホイル状態のピークを観測することに成功した。さらに、モンテカルロ計算によって飛跡の模擬データを生成し、これを実際の測定データと同様に解析することで、非弾性散乱事象の検出効率を評価した。最終的に得られたホイル状態の励起断面積は先行研究と誤差の範囲内で一致しており、MAIKoアクティブ標的を用いた中性子非弾性散乱の測定技術の実証に成功した。 また、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにおいて可変エネルギー単色中性子源の開発を行った。この中性子源では、ホウ素11ビームを水素ガス標的に照射し11B(p,n)11C反応によって単色中性子を生成する。今年度は、水素ガス開発の設計・製作、および、ホウ素11ビームを大強度化するためのイオン源と加速器の改良を行った。 さらに、高温度環境下におけるトリプルアルファ反応率の測定に用いるシリコン半導体検出器の波形解析技術の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アクティブ標的開発の専門的知識を有する研究協力者の雇用が遅れたため、MAIKoアクティブ標的の大型化計画の開始が遅延した。また、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの930型AVFサイクロトロンにおけるホウ素11ビーム加速の安定化開発を行う必要が生じたため、可変エネルギー単色中性子源の開発が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定からは遅延したものの、現在は、アクティブ標的開発の専門的知識を有する研究協力者を迎え入れ、MAIKoアクティブ標的の大型化を進めている。大型が完了次第、大阪大学工学部中性子工学実験施設において性能評価試験を実施する。 さらに、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにおける可変エネルギー単色中性子源の開発を完了させ、高密度環境下におけるトリプルアルファ反応率の測定を実施する。 また、シリコン半導体検出器の波形解析技術を完成させ、高温度環境下におけるトリプルアルファ反応率測定の準備を行う。
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Remarks |
MAIKo TPCを用いた12C(n,n')12C(0+2)反応の断面積測定に向けた実験条件の検討, 土井隆暢, 京都大学大学院理学研究科 修士論文, 2020年3月.
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Particle Identification by Pulse-Shape Analysis with Neural Network2020
Author(s)
Hijikata Yuto, Kawabata Takahiro, Kanada-En’yo Yoshiko, Yoshida Kenichi, Arakawa Yui, Inaba Kento, Enyo Shiyo, Okamoto Shintaro, Katayama Kazuki, Kongo Ryota, Sakaue Akane, Sakanashi Kosuke, Takagi Shu, Doi Takanobu, Fujikawa Yuki, Furuno Tatsuya, Matsumoto Rinko, Mikami Takuya, Miyazato Keiko, Murata Motoki
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Journal Title
JPS Conference Proceedings
Volume: 31
Pages: 011050
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 中性子によるトリプルアルファ反応の増幅率決定に向けた10 MeV単色中性子源の開発2020
Author(s)
中川杏菜, 伊藤正俊, 石田駿野, 黒澤駿斗, 野坂恭子, 前田流, 松田洋平, 山本広平, 秋宗秀俊, 久保野茂, 川畑貴裕
Organizer
日本物理学会 第75回年次大会
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