2021 Fiscal Year Annual Research Report
Super-resolution live-cell imaging of cell-attached nanointerface using LSPR sheets
Project/Area Number |
19H05627
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
玉田 薫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80357483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 晃一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50467453)
居城 邦治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90221762)
須川 晃資 日本大学, 理工学部, 教授 (40580204)
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
|
Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
|
Keywords | 局在プラズモン共鳴 / ライブセルイメージング / 超解像度 / ナノ粒子 / メタマテリアル / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1:超解像度超高速ライブイメージング用局在プラズモンシートの作製 Edgeの尖った銀ナノキューブ(立方体)について単層で大面積(数mm四方)の膜を作製することに成功した。さらに水ーブタノール混合溶媒系界面での銀ナノプリズムの二次元自己組織化が、ブタノールの界面への過剰吸着とそれに起因する界面での対流に誘発されることを明らかにした。電磁場解析計算では、金属薄膜上に金属ナノ構造を配置すれば光の共鳴ピークが著しく先鋭化し、Q値が約10倍、発光増強換算で約40倍の電場増強が得られることが明らかになった。さらに集光シミュレーションを行ったところ、通常の材料の半分以下の集光スポットが得られ、高分解イメージングの可能性が示唆された。 課題2:細胞接着ナノ界面の創製と分子ダイナミクスの直接観察 細胞接着の初期段階において、これまでに報告されていない新たな繊維状新生接着体の形成を発見した。この構造体は細胞が基板に接触した直後にのみ放射状に現れ、細胞が成熟した接着斑を形成し伸展を始めると消失する。またこの構造体はフィブロネクチン処理基板など細胞接着性表面では現れず、細胞が接着しにくい基板でのみ細胞の剥離を抑えるように現れる。これは局在プラズモンシートによる高解像度・高速イメージングによって初めて可視化されたもので、これについて論文発表し、プレス発表をした。さらに今後課題3で実施する医療応用(幹細胞/がん細胞の動態診断)の試験観察を始め、細胞腫によって界面での深さ方向の動き(ダイナミクス)に違いがあることを見出した。 その他、国際共同研究の成果として、台湾師範大学との共同研究において、ペロブスカイト量子ドットを使った発光メモリーデバイスの開発に成功し、その成果についてNature Comm.に発表した。台湾国内では20社を超える新聞発表/TV報道がなされ、日本へもYahooニュースとして逆輸入され注目を集めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1/課題2ともに順調に進展している。課題1では本来並行配向させることが困難な三角形銀ナノプリズムなど異形粒子を高密度に二次元自己組織化させる新規手法の開発に成功しただけではなく、そのメカニズムを解明することができた。今後は新規プラズモンメタサーフェイスの増強電場の活用法について細胞イメージングに限らず幅広く検討を進める。課題2では、局在プラズモンシートの特徴である生細胞のダイナミクス観察に関わる成果が安定して出始めている。昨年度のパキシリンのクラスター形成過程の実時間観察に続き、本年度は細胞接着の初期段階における繊維状新生接着体の形成を発見するに至った。本年度より着手したがん細胞のダイナミクス観察においても、細胞種による性質の違いを時間分解の定量測定により可視化できつつある。無染色での細胞の運動表現型(運動細胞の接着牽引挙動)のイメージング診断技術の開発では、ポリマー薄膜を界面変形層として用いる可視化基材の設計と最適化を進めている。すでに界面変形を反映すると見られる画像の取得には成功している。 台湾との国際共同研究では、予想外の成果として、ペロブスカイト量子ドットを使った発光メモリーデバイスの開発に成功した。これはコロナ禍のためバイオ応用に関する国際共同研究が難しいということで発案したテーマであったが、予想を超えた成果が得られ、Nature Comm.に掲載されるとともに台湾国内で20社を超える新聞発表/TV報道がなされ、日本でもYahooニュースとなった。開発されたメモリーは、異なる発光色で「書き込み」状態か「消去」状態かを知らせることができ、データの暗号化などへの応用が見込める。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題1:超解像度超高速ライブイメージング用局在プラズモンシートの作製 ナノ粒子合成ー自己組織化ー電磁気計算ー応用に至る一連の成果について論文にまとめる。異形粒子からなる局在プラズモンシートの細胞イメージング観察基板としての利用法を引き続き模索する。再生増幅ピコ秒レーザーを用いて高速時間分解計測を行い、金属ナノ構造と金属基板の結合系における強い局在表面プラズモン特性の機構をさらに詳しく解析し、さらなる高感度検出、高解像度イメージングへの最適化を試みる。 課題2:細胞接着ナノ界面の創製と分子ダイナミクスの直接観察 幹細胞およびがん胞等の細胞試料の高速・高解像度イメージングによる細胞特性解析を引き続き進める。来年度は特に接着界面の画像の時間発展の様子の自動解析/数値化手法を完成させる。この解析を通じて、本法の特徴である細胞の、特に深さ方向のナノの動きの実時間定量評価を試みる。ポリマー薄膜を界面変形層として用いる無染色細胞の接着牽引挙動の観察では、蛍光標識ポリマー薄膜のガラス表面への確実な化学固定と物理吸着分の完全な除去を確立し、悪性度の異なるがん細胞の牽引力挙動の差異をイメージングにより検出する。 課題3幹細胞・がん細胞のハイスループット細胞膜活動診断法の確立 がん細胞のダイナミクスに関する論文執筆を進めるとともに、より複雑で繊細な現象の解明に着手し、機械学習との融合領域研究の確立を目指す。これと並行して、医系研究室から細胞病理診断において現在最も求められている課題を学び、課題3におけるハイスループット診断のターゲットの明確化を図る。 さらにフルカラーペロブスカイト量子ドットによる国際共同研究を引き続き遂行する。最終年までにフルカラーペロブスカイト量子ドット膜の細胞イメージングへの応用を検討する。
|
Research Products
(81 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Effect of chemically induced permittivity changes on the plasmonic properties of metal nanoparticles2021
Author(s)
N. Saito, S. Ryuzaki*, Y. Tsuji, Y. Noguchi, R. Matsuda, P. Wang, D. Tanaka, Y. Arima, K. Okamoto, K. Yoshizawa, and K. Tamada*
-
Journal Title
Communications Materials
Volume: 2
Pages: 54
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Performance Improvement of Triplet-Triplet Annihilation-Based Upconversion Solid Films through Plasmon-Induced Backward Scattering of Periodic Arrays of Ag and Al2021
Author(s)
K. Sugawa*, S. Yoshinari, S. Watanabe, K. Ishida, S. Jin, N. Takeshima, T. Fukasawa, M. Fukushima, R. Katoh, K. Takase, H. Tahara, J. Otsuki
-
Journal Title
Langmuir
Volume: 37
Pages: 11508-11519
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-