2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of abnormal functioning of neuronal circuits underlying neuropathic pain and its application for drug discovery
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19H05658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20568365)
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 助教 (30645635)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 神経障害性アロディニア / 一次求心性神経Aβ線維 / 光遺伝学 / 脊髄後角神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アロディニアの基盤となる脊髄後角神経回路の動作異常を特定し,触から痛への転換メカニズムを明らかにする。本年度は,AAV-NpyP+神経からの出力先を神経トレーサーや電気生理学的手法にて解析し,脳幹の腕傍核へ投射する脊髄後角第I層神経にAAV-NpyP+神経がGABAを介して直接抑制していることを明らかにした。また,神経障害性疼痛モデルのAAV-NpyP+神経において,Aβ線維からのシナプス入力の減少,活動電位発生数の減少および静止膜電位の低下が認められ,同神経活動が神経障害後に低下することを見出した。特に静止膜電位の低下はAβ線維由来アロディニアの重症度と相関した。以上より,AAV-NpyP+神経はモルヒネ抵抗性Aβ線維由来アロディニアに中核的役割を果たすことを明らかにした(PNAS誌に掲載)。また,グリア細胞との相互作用において,神経損傷後に活性化したミクログリアがAAV-NpyP+神経の細胞体と非常に近接すること,アストロサイトがAAV-NpyP+神経活動の低下に関わること,そして新しく発見したグリアサブセットがAβ線維由来信号を変調させることを見出した(Nat Neurosci誌に掲載)。さらに,ダイノルフィンプロモーター制御神経(AAV-DynP+神経)は脊髄後角第I層に主に分布し,約7割が抑制性介在神経であり,同神経除去ラットでは神経障害性Aβ線維由来アロディニアが抑制された。興味深いことに,von Freyフィラメントによる過敏行動(モルヒネで抑制される)には変化がなかった。すなわち,新たに特定したAAV-DynP+神経は,神経損傷後のAβ線維由来アロディニアに選択的に関与する可能性がある。ROSA-tdTomatoレポーターマウスと逆行性AAVを用い,脊髄後角へ直接投射する神経を全脳イメージングにて解析し,複数の脳部位を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施項目として計画した内容を予定通り遂行し,その中で複数の特筆すべき成果を得た。(1)神経損傷後のAAV-NpyP+神経における静止膜電位の低下がAβ線維由来アロディニアの重症度と相関したことから,同神経の中核的役割が示された(PNAS誌掲載)。(2)AAV-DynP+神経は,従来のvon Freyフィラメントによる過敏行動には関与せず,Aβ線維性アロディニアのみに関与することを発見した。(3)Aβ線維由来信号を大きく変調させる新規グリアサブセットを発見した(Nat Neurosci誌掲載)。これらは,モルヒネ抵抗性のAβ線維由来アロディニアの神経回路を解明するうえで非常に重要な成果であり,今後の研究の大きな進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の交付申請書の各項目(以下)に従って順次予定通り実施し,分子から細胞,個体レベルで包括的に研究を進めていく。 (1)AAV-NpyP+神経の活動低下のメカニズム(グリア細胞との相互作用を含む) (2)AAV-DynP+神経の解析 (3)脳から脊髄後角への制御シグナル (4)AAV-NpyP+神経に作用する既存薬探索
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Astrocytic phagocytosis is a compensatory mechanism for microglial dysfunction2020
Author(s)
Konishi Hiroyuki、Okamoto Takayuki、Hara Yuichiro、Komine Okiru、Tamada Hiromi、Maeda Mitsuyo、Osako Fumika、Kobayashi Masaaki、Nishiyama Akira、Kataoka Yosky、Takai Toshiyuki、Udagawa Nobuyuki、Jung Steffen、Ozato Keiko、Tamura Tomohiko、Tsuda Makoto、Yamanaka Koji、Ogi Tomoo、Sato Katsuaki、Kiyama Hiroshi
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 39
Pages: e104464
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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