2019 Fiscal Year Annual Research Report
融合身体VRによる身体図式変容の心理学的基盤解明と工学的応用
Project/Area Number |
19H05661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 通孝 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40156716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
谷川 智洋 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任准教授 (80418657)
青山 一真 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (60783686)
北川 智利 立命館大学, BKC社系研究機構, 教授 (60336500)
広田 光一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80273332)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 融合身体 / 身体図式 / バーチャルリアリティ / we-mode / スキル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,バーチャルリアリティ(VR)空間で複数人が一つの身体(融合身体)を使用して私(I)でも我々(We)でもある身体運動を遂行する環境での検証から,共同行為が自らの寄与によるという感覚(行為主体感)が生じるメカニズムと,身体動作遂行に必要な潜在的知識(身体図式)が変容する条件とそのメカニズムを明らかにし,これを応用して効率的な身体スキル伝達手法を実現することである. 本年度は,まずwe-modeを成立させる融合身体構成法の構築として,融合を促進するアバタの要件を整理し,実際の身体運動と融合身体アバタの運動のずれが大きい場合にも融合身体に行為主体感を生起できるようにする新しいアプローチを提案した.視覚と体性感覚の統合が重要となる融合身体において,視覚の信頼度を高めることで視覚により強く依拠した感覚統合が起こり,融合身体への強い身体感覚・行為主体感の生起が可能になると考えられる.そこでVR空間でのアバタの見た目が人間に近くリアルな場合と,抽象的な場合(指先位置のみを示す球形ポインタ等)とで,視覚フィードバックと実際の身体位置のズレへの気付きやすさが変化するか調査した.その結果,アバタの見た目がリアルなほどこのズレに気付きにくくなることを明らかにした.この結果から,融合身体では現実に近いリアルな見た目のアバタを使うほど強い融合感覚を生起できることを示唆した. また,融合身体を使用した場合の行為主体感と運動意図伝達に関する基礎評価をおこない,自分の動きが融合身体に反映されない条件においてすらユーザは見かけの身体運動から行為主体感を得られること,自由な動作に比べて目標位置や運動軌道が指定されている動作では行為を予測しやすく高い行為主体感を得やすいことを示した. スキル伝達手法に関しては,上記で得られた知見を活用して,型のある全身運動として空手を例にしたシステム構築を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進展しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き融合身体において行為主体感を高める基盤技術を構築するとともに,構築した融合身体基盤を活用して運動意図伝達・身体図式変容が起こる条件の明確化に取り組んでいく.
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Research Products
(18 results)