2019 Fiscal Year Annual Research Report
道具の心的モデルが空間認知の身体化プロセスを媒介するメカニズムの解明
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19J00072
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
武藤 拓之 立命館大学, OIC総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 心的回転 / 空間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,心的に操作しやすい道具の性質を明らかにするために,物体の視覚的形態が空間認知プロセスに及ぼす影響に特に焦点を当てて複数の研究を実施した。これまでの研究では,人の身体に見立てられた物体は抽象物体よりも素早く心的回転できることが繰り返し報告されてきたが,本研究では,物体を人とは似て非なる動物(蛇)に見立てたときにも心的回転の処理速度が増すことを実験により明らかにした。具体的には,立方体から構成された物体のCGを用いて,物体の形状(人型か蛇型か)と顔の有無(人または蛇の顔が付いているか否か)を操作し,心的回転の成績を比較した。その結果,人の顔を付与することによって心的回転の実行速度が向上するという従来の知見の再現だけでなく,蛇の顔を付与したときにも人の顔を付与したときと同程度の促進効果が生じることが明らかになった。この発見は,1つのまとまりとして認識できるような物体であれば,それが人型であろうとなかろうと心的に操作しやすくなることを示すものであり,心的に操作しやすい道具の範囲を拡張することに成功したといえる。また,見慣れた文字の心的操作を実行する際に,人が2通りのプロセスを使い分けていることも明らかにした。傾いた文字が正しい文字であるか鏡文字であるかを判断する際,その文字を頭の中で回転させるプロセスが必要であると従来は考えられていたが,本研究では統計モデリングの手法を用いて,文字を心的回転させる場合とさせない場合の両方のプロセスを考慮することにより全体的な課題成績をうまく説明できることを明らかにした。この知見は,人が状況にあわせて適切に認知負荷の小さい方略を用いることができるという認知の柔軟性を示すものであり,また,道具を設計する際に道具の使用者が適用しうる方略について考慮することの重要性を示唆するものでもある。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Effectiveness of body analogy for mental rotation in the oldest-old people2019
Author(s)
Muto, H., Gondo, Y., Inagaki, H., Masui, Y., Nakagawa, T., Ogawa, M., Onoguchi, W., Ishioka, Y., Numata, K., & Yasumoto, S.
Organizer
The Psychonomic Society's 60th Annual Meeting
Int'l Joint Research
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