2019 Fiscal Year Annual Research Report
結晶成長プロセス・インフォマティクスの創出による宇宙用パワー半導体の研究開発
Project/Area Number |
19J00871
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
草場 彰 学習院大学, 計算機センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 結晶成長 / 機械学習 / 特徴抽出 / Koopmanモード分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶成長プロセス・インフォマティクス(cg-PI)では、(A)プロセス中の各種状態/(B)成長した結晶の品質を、それぞれ入力/出力と見て、教師あり機械学習を適用する。これにより、物理学・化学の理論に基づく演繹的なモデルだけでは困難であった(A)と(B)を精密に対応づける予測器を構築し、プロセス条件の最適化に活用する。機械学習アルゴリズムへの入力は、(A)を適切に特徴付ける量として用意する必要があり、この部分は結晶成長に特化した方法論の構築が必要である。cg-PIでは、まず、計算科学・その場計測により(Ⅰ)成長条件を(Ⅱ)状態量に変換する。次に、教師なし機械学習により(Ⅱ)状態量を(Ⅲ)特徴量に変換する。例えば、高次元の時空間データである成長表面のステップダイナミクスは、そのまま教師あり機械学習の入力とすることはできないため、特徴抽出が必要である。 当該年度は、時空間データからの特徴抽出の手法として、Koopmanモード分解に着目した。これは、時空間データを一定の振動数と増減率(固有値)をもって時間変動するコヒーレントな空間パターン(モード)に分解する。現段階ではcg-PIに向けた状態量データベースが十分に構築されていないため、他分野の様々なデータを用いて検討を進めた。結晶成長プロセスと同様に高い非線形性を有する乱流プラズマのデータでは、L1正則化により多数あるモードの中から重要度の高い少数のモードを選択するアルゴリズムを適用した結果、従来研究からわかっていた特徴と矛盾のない特徴をデータ駆動で抽出することができた。さらに、スライディングウィンドウ法により、特徴の時間発展を解析する手法についても検討を進めた。また、非線形性の高い時空間データを、より高精度に学習・再構成するための改良を試みている。この改良によって、より有意な特徴抽出が可能となり、予測器の性能向上が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機械学習の適用において成否を分ける特徴量作成のフェーズに着目し、Koopmanモード分解を多様なデータに適用して、方法論の検討を進めることができた。さらに、結晶成長プロセスで見られる非線形性の高い時空間データの解析を適切に行うための改良も進んでいる。今後、より結晶成長プロセスに関連したデータの特性にフォーカスを当てた手法の開発が必要であるものの、現在のところ、理論・応用の両面で、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、従来よりもリアリスティックな成長表面の第一原理計算を行い、cg-PIに向けた状態量データベースの拡充を進める。また、当該領域の知識を用い、結晶成長プロセスからの特徴抽出に特化して、Koopmanモード分解の改良を行う。さらに、(A)プロセス中の各種状態/(B)成長した結晶の品質を入力/出力とした教師あり学習を現段階で可能な範囲で進めることで、どのような特徴量作成アプローチが必要になるか検討する。
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Research Products
(5 results)