2019 Fiscal Year Annual Research Report
B+木とVattiクリッピングを用いたニアリアルタイム切削シミュレータの開発
Project/Area Number |
19J12013
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鬼頭 亮太 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 切削シミュレータ / Vattiクリッピング / ポリゴン / 切削力 / 円弧 / 3次元化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高速,高精度切削シミュレータの開発を目的として研究を行っている.本研究は従来のボクセル表現ではなく,多角形の面で表現されるポリゴン表現に着目し,ポリゴン同士のブール演算を高速に行うことができるCG分野の技術であるVattiクリッピングを応用することによって,高速,高精度の切削シミュレータを開発する. 本年度は以下4項目に関して研究を行った.頂点数に依存するブール演算に掛かる計算時間を頂点数に依存しない方法の開発[1],円の表現の際に直線による多角形近似が必要であったVattiクリッピングを円弧に対応させるアルゴリズムの開発[2],2DアルゴリズムであるVattiクリッピングを3次元に応用する方法の開発[3],切削体積を求め切削力を推定する部分の開発[4]を行った.[1],[2]は主にフラッシュアップであり,[3],[4]を重点的に行なった. [1]に関しては,工作物形状を格子状に分割,AABBを使用し,ブール演算に必要な部分をピックアップすることによって,ブール演算に掛かる最大計算時間を9msecにすることに成功した.ここで,計画していたB+木の適用は必要ないと考察した.データ構造であるB+木より非常に簡易な2次元配列でデータ構造を保存する方法がより,高速かつわかりやすいアルゴリズムになると考えたからである.[2]はVattiクリッピングのアルゴリズムにルールを追加することによって,円弧に対応させた.これによって,精度,速度の向上を確認した.[3]の3次元化に関しては2次元レイヤを積層することによって3次元化を行った.これに関してはまだまだ改善できる点が存在するため,今後も継続し研究を行う.[4]の切削体積計算は,ブール演算の積から切削面積を求め,そこから切削体積,切削力を計算することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していた切削力計算の実装する前に,ブール演算の高速高精度化を目的として,頂点数に依存するブール演算に掛かる計算時間を頂点数に依存しない方法の開発,円の表現の際に直線による多角形近似が必要であったVattiクリッピングを円弧に対応させるアルゴリズムの開発を重点的に行なったため,切削力計算の実装開始に遅れが発生した.しかし,この2つの改善によって,高速,高精度な切削シミュレータ開発を行うことができたと言える. 一方切削力計算については,実装は完了しており,実機による検証を残すのみとなっている.遅れた理由としては,上記した高速高精度化による遅れもあるが,2020年度に予定していた,びびり安定シミュレータ開発を前倒ししたためである.これは,このびびり安定シミュレータの実機による検証と切削力計算の実機検証を同時に行った方が効率的だと考えたためである.よって,当初の研究計画を変更したが,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,びびり安定シミュレータ開発を中心に研究を行っていくが,実機検証の際には,切削力の検証も同時に行う予定である.また,3次元化に関しては改善できる点が存在すると考えているため,3次元化に関しても開発を行い,より一層の高速高精度化を実現していく予定である.
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Research Products
(2 results)