2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Road Network Design Method for Resistance to Natural Disaster Considering the Importance and Time Elapsed of Disaster Prevention Bases
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19J12627
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大澤 脩司 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 道路防災 / 防災拠点 / 道路の防災機能 / 災害危険箇所 / 接続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
道路は様々な災害対応を支える重要な基盤施設の1つであり,被害の軽減・迅速な災害対応のためには,自然災害時でも接続性が維持されるような道路網を整備することが重要である.本研究は道路の防災機能を評価する新たな手法を開発するとともに,その政策への応用方法を検討することを目的としたものである.今年度は防災関連拠点の重要度とその必要となる時間軸を考慮した道路の防災機能評価指標の開発に取り組んだ.その成果は以下に整理する通りである. これまでの研究では寸断可能性の高い危険箇所,防災拠点間の接続性からみたリンクの対策注目度の評価指標を開発した.今年度はこの指標を更に発展させ,道路距離の要素を考慮可能な評価手法を開発した.これによって,防災拠点間の接続性を短い距離の経路で維持する上で,対策上注目すべき箇所を評価することが可能となった.また,石川県の緊急輸送道路ネットワークを対象としたケーススタディを行い,開発した手法の妥当性と有効性の検証および評価指標の特徴・性質を整理した. また,過去の大規模な地震災害における道路構造物の被害事例を対象に,どのような要素・要因を持つ道路で被害を生じる可能性が高いかについて災害報告書の記述を基にしたテキスト分析による基礎的な検討を行った.その結果得られた橋梁と土構造物に関する共起語ネットワーク図から,被害の形態・要因に関する示唆を得ることがでた.これは本研究で開発した手法の政策への応用方法を検討する上での有用な知見となる. 以上の研究成果は第39回地震工学研究発表会,第60回土木計画学研究発表会・秋大会,The 18th International Symposium on New Technologies For Urban Safety of Mega Cities in Asiaで発表を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で開発した評価指標を更に発展させたことで「防災拠点間の接続性を短い距離の経路で維持する上で,対策上注目すべき箇所」を評価することが可能となった.これによって本研究で開発した手法では「道路距離を考慮しない代わりに接続性の確保を重視した場合の対策注目箇所の評価」と「防災拠点間の接続性を短い距離の経路で維持する上での対策注目箇所の評価」の2通りの道路防災対策の考え方を自由に選択できるようになり,道路防災対策を検討する上でのより充実した基礎情報を提供することが可能となった. また,道路の防災機能評価に関する一連の研究では,「その手法をいかに応用するか?」に言及されることは少なかった.本研究ではどのような要素・要因を持つ道路で被害を生じる可能性が高いかについて分析し,政策への応用方法を検討する上での有用な知見を得ることができた. 以上より,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の2点の研究課題に取り組む.(1)前年度に開発した道路の防災機能の評価指標について,拠点の時間軸及び重要度の視点で更に発展させる.(2)開発した評価指標の適用方法を整理するとともに,本指標を適用することで議論可能となる道路防災対策・防災拠点計画に関する施策に関する検討を行う.詳細は以下の通りである. 1点目の研究課題について,前年度には道路の防災機能を高める2つの代表的手段のうち「既存道路の改良」に着目した指標の開発を行った.具体的には,これまで本研究で開発してきた指標では考慮できていなかった道路距離の要素を盛り込んだ評価指標を開発した.本年度はこの指標を更に発展させ,もう1つの道路の防災機能を高める代表的手段である「拠点の新設や移転」に関する議論が可能な評価指標の構築を目指す.具体的には,道路網をモデル化したネットワークにおいて,前年度に構築した評価指標はリンクの評価指標であるが,これをノードの評価に発展させることを目指す.この際には,複雑ネットワーク分野等におけるノード評価手法の考え方を参考にする.また,開発した指標の妥当性・有効性を検証するために,実際の道路網を対象としたケーススタディも実施する. 2点目の研究課題について,提案手法を施策検討に活用するための効果的な手法の適用方法を検討する.具体的には,手法適用時の各種計算条件の設定方法に関する検討を行う.これを踏まえた上で,近年の大規模災害時の道路被害の情報や,最新の災害被害想定を対象に本提案手法を用いた防災機能評価を行い,被害の軽減が期待できた対策箇所・対策拠点(被害の軽減が期待できる対策箇所・対策拠点)を分析する.これによって道路防災対策・防災拠点計画として有効に機能することが期待される施策の内容を整理し,本研究の成果がどのように道路防災対策・拠点計画への応用可能性を有するかを整理する.
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