2020 Fiscal Year Annual Research Report
「インド民主主義」における包摂と排除―インド政治学とサバルタンの視座の比較―
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19J14229
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
牧 杏奈 明治大学, 明治大学大学院政治経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | サバルタン / ラナジット・グハ / デモクラシー論の批判的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、当初予定していたインド農村部での調査が遂行不可能となったため、より理論的な研究へと方向修正し、「「インド民主主義」における包摂と排除」を分析するための新たなアプローチを試みた。主な研究内容は、以下の三点にまとめられる。 第一に、インドのサバルタン研究の方法論的検討を深めた。インドで刊行されている『サバルタン・スタディーズ』に掲載されている論文を収集し、同雑誌の主要な論者による関連論文の概要をまとめた。とりわけ、『サバルタン・スタディーズ』の創始者であるラナジット・グハに関しては、その方法論的な独自性について検討を行い、その成果を論文「ラナジット・グハと「サバルタン」――サバルタン研究の方法論に関する一考察――」に取りまとめて『政治経済学研究論集』に発表した。 第二に、学際的なサバルタン研究の動向調査を進めた。方法論的な変化を経た今日的なサバルタン研究が、多様な地域において議論されるなかでどのような研究が展開されているかを検討し、論文「「サバルタン」研究――概念的な特性と意義――」に取りまとめて『明治大学社会科学研究所紀要』に発表した。 最後に、言説・社会構造分析としてのサバルタン研究を民主主義論の研究に応用し、今日的な反ポピュリズム言説及び「差異の政治」言説にみられる研究者と研究対象者との権力関係に関する分析を進めた。前者については、日本政治学会において「デモクラシー論によるサバルタンの生成について――政治学におけるサバルタン研究の試み――」と題した口頭発表を行い、後者については、明治大学政経学会において「アイリス・マリオン・ヤングの正義論におけるデモクラシーの言説」と題した口頭発表を行った。いずれにおいても、サバルタン研究を政治学の議論に応用することに関して有益なご意見・ご指摘をいただいた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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