2019 Fiscal Year Annual Research Report
CMCMC discourse analysis on online homophobia and hate speech
Project/Area Number |
19J15527
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高島 亜理沙 名古屋大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | ジェンダー / セクシュアリティ / クィア理論 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ポリティカル・コレクトネス(以下、PC)が広まる中で、未だ盛んに用いられるホモフォビックなからかいや冗談の表現に着目するものである。特にインターネット上や若者文化の中でこういった表現が①どのように発展・継続してきたか、②どのようにPCによる規制を免れてきたか、そして③なぜ必要とされるのか、を明らかにすることを目的とする。これにより、エンターテインメントの中での差別性や表現の自由等との兼ね合いに関する昨今の議論に寄与することを目指す。 本年度はデータ収集と分析の他、今後の研究の方向付けを明確にすることができた。まず、「ニコニコ動画」を中心とするインターネット上のホモフォビックな言説について、著名な動画のコメントを分析し、動画が注目を得るに至った過程とそれに伴って生まれた動画鑑賞の様式に着目した。その結果、動画鑑賞の性質に「お祭り騒ぎ」に類似する構造を見出した。また、より多くのコメントが集まり、「興奮」の様相を呈する(画面がコメントで覆いつくされる)ことで、お祭り騒ぎの大元(動画)が文字通り不可視化されることを指摘した。 次のステップとして、クィアなコンテンツがこうした「お祭り騒ぎ」の中で(のみ)消費される理由と、それがホモフォビックな環境でも許容される傾向にあることについて、インターネットに限らない日本の社会・歴史的な側面から探ってみたい。そこで、受入研究者との話し合いの元、インターネット外での類似する若者文化に目を向け、日本の文化的背景を別の角度から探ることにした。具体的には、大学の文化祭において「女装」がコンテストやカフェなどの形で盛大に行われている状況に、「お祭り騒ぎ」の中でのクィア性という共通点を見出した。本年度はインターネット上で情報を集める傍ら、こうしたイベント参加者へのインタビューを行い、それらのデータを分析した。 研究内容の発表は主に国際学会で行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、本年度はデータの収集と分析を滞りなく行うことができた。 学会発表はおおむね好評であったが、コロナウイルス感染拡大の影響で延期になってしまった分は今後巻き返していく必要がある。 また、インタビューベースの研究が困難になる恐れがあるため、より多様なデータを扱うことで分析に厚みを持たせることができないか検討したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は研究結果の報告に向けた執筆作業に取り組む予定である。 上記の通り、日本の社会・文化的背景の側面からクィアなエンターテインメントの性質を探る必要があるため、多面的なデータを扱うことを目指す。 よって、収集済みのインタビューデータの他、ニュース記事やソーシャル・ネットワーキング・サービス上のコメントも分析の対象とし、インターネット上の言説について得られた知見を踏まえた統合的な考察を行いたい。
|