2019 Fiscal Year Annual Research Report
多様なナショナリズムの形成過程―計量社会学的アプローチを用いた実証研究―
Project/Area Number |
19J20186
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 僚介 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ナショナリズム / 排外主義 / ナショナル・アイデンティティ / 「ネット右翼」 / リベラル・ナショナリズム / 計量社会学 / 潜在クラス分析 / サーベイ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載した通り、本研究の目的は、どのようにして経済的不満と社会関係的不満が潜在クラス分析で類型化したナショナリズムを規定しているのか(研究課題Ⅰ)、インターネット利用とナショナリズムの類型の関係はいかなるものか(研究課題Ⅱ)、そのナショナリズムの類型の趨勢はどのようなっているのか(研究課題Ⅲ)を明らかにすることである。そのうえで、ナショナリズム形成の心理内メカニズムを明らかにすること(研究課題Ⅳ)を目的とする。 研究課題Iについて、分析を行い「第92回日本社会学会」で発表を行った。分析結果は、不満はある一部のナショナリズムの類型を説明することである。つまり、不満によって排外主義やナショナリズムの一部を説明することができる。研究課題Ⅱは、「第64回関西計量社会学研究会」で発表を行った。最も強いナショナリズムの類型を持つ人々が、インターネット上で情報発信を行っていることが明らかになった。研究課題Ⅲについて、分析途中である。データクリーニングとデータのマージは終了しているが、利用可能なモデルが多くモデルの選定を進める必要がある。研究課題Ⅳは、大学生を対象としたサーベイ実験を行った。研究内容は、「第65回関西計量社会学研究会」で発表を行った。ナショナリズムの強まり、あるいは維持のメカニズムとして、認知的不協和のメカニズムがあることが示唆された。ほとんどの人々は、日本から出られないために、日本へのアイデンティファイを強める可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している。予定通り、2019年のICPSRのサマープログラムに参加し、パネルデータ分析やカテゴリカルデータの分析法に関して理解を深めた。研究課題Iではパネルデータの分析を行うため、進展があった。他にも、ほとんどの課題についてカテゴリカルデータを扱うため、その意味でも進展があったと考えられる。研究課題Ⅰについては予定通り、「第92回日本社会学会」にて学会発表を行った。課題Ⅱに関しても、分析を終了し、研究会等で発表した。課題Ⅲについては、データの作成は行ったがまだ分析モデルを確定しておらず、進行途中である。課題Ⅳについては、学生を対象としたプレ調査をおこなった。平成32年度に結果を2020年3月の「数理社会学会」にて発表予定であったが、中止となったため、平成32年度の「第71回関西社会学会」にて発表予定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題Iについて、学会誌での掲載を目指し推進する。研究課題Ⅱについても、学会誌での掲載を目指し推進する。研究課題Ⅲについて、分析を進める必要がある。モデルの選定について、より高い分析スキルを必要とする手法を学ばなければならない。趨勢の分析にとどまらず、国際比較データを用いて、なぜその趨勢が現れるのかまでを検討する必要がある。研究課題Ⅳについて、今後はサンプル数を確保するために、オンラインサーベイ実験を行う予定である。しかし、COVID-19の流行によって、社会に大きなインパクトのあったため、プレ調査で行った方法をそのまま利用することを断念した。計画を練り直し、今年度中の調査の実施を目指している。
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Research Products
(5 results)