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2020 Fiscal Year Annual Research Report

多様なナショナリズムの形成過程―計量社会学的アプローチを用いた実証研究―

Research Project

Project/Area Number 19J20186
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

齋藤 僚介  大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2022-03-31
Keywordsナショナリズム / 排外主義 / ナショナル・アイデンティティ / インターネット / リベラル・ナショナリズム / 計量分 / 形成過程 / サーベイ実験
Outline of Annual Research Achievements

採用期間中の研究目的は、潜在クラス分析で類型化したナショナリズムの形成過程を明らかにすることにある。そのため、第一に、ナショナリズムの一般的な形成・変化メカニズムについて検討する必要がある。その研究について、昨年度行った学生を対象としたサーベイ実験の内容をより発展させ「関西社会学会」にて報告した。さらに、今年度は、より一般的な標本を得るために3月にウェブサーベイ実験を行った。第二に、ナショナリズムを類型化し、現代日本においてリベラルナショナリズムを持つ人々がいるのか検討した論文が『ソシオロジ』に掲載された。第三に、上記の論文での成果に基づきナショナリズムの形成の要因として、自らの生活への経済的、社会関係的認知に着目した論文を進めている最中である。第四に、ナショナリズムを含む様々な価値意識と大学での専攻分野の関係を扱った論文が『ソシオロゴス』に掲載された。第五に、インターネットやメディアでの活動とナショナリズムの類型の関係についての論文を投稿し現在審査を受けている段階である。第六に、現在投稿中の論文で用いた二重過程理論について広くレビューし、ナショナリズム論だけではなく、社会学一般の行為理論へのインプリケーションを検討した研究を「数理社会学会」にて報告した。第七に、リベラル・ナショナリズム論と関わるエスニシティや多文化主義といった周辺分野において影響力を持つスーパーダイバーシティに関する著名な論文(Vertovec, S. ,2007, “Super-diversity and its implications,”Ethnic and racial studies, 30(6), 1024-1054.)を翻訳し、『理論と動態』に掲載された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、ナショナリズムの類型の形成過程について多方面から検討することを目的としていた。ナショナリズムの類型それ自体の検討を行うことができた。さらに、その研究で用いたリベラル・ナショナリズム論と関連する議論についての論文を翻訳した。
一方で、個人の生活への認知によるナショナリズムの類型の形成については達成が遅れている。それには以下のような理由がある。ナショナリズムの形成に関する理論を発展させる必要性が昨年度の学会発表や論文の審査でわかったことである。そのため、ナショナリズム形成の理論について検討し、実証的に検討する必要が出てきた。この課題について、学会発表や調査を行うことができ、ナショナリズムの形成の一部を説明する理論を精緻化することができた。理論は、他の要因(たとえば生活への認知や不平等の認知)による説明も可能にする可能性のあるものである。さらに、学歴(専攻分野)からの説明についても検討することができた。
次に、ナショナリズムとインターネットの関係について検討した。ナショナリズムの類型とインターネットでの政治的情報発信行動に関連があることが分析から明らかになった。この内容については現在審査中である。さらにその研究を通して着想した課題として、社会学における行為理論における二重過程理論の応用についてである。この研究についても、学会発表を行った。二重過程理論の社会学への応用には、アメリカ流のものとヨーロッパ流のものがあり、それらを比較検討した結果、両者の理論は社会学について有用であることを主張した。

Strategy for Future Research Activity

第一に、ナショナリズムの一般的な形成に関する理論の実証研究を学会発表・論文化する必要がある。第二に、ナショナリズムの類型の規定要因としての生活への経済的・社会関係的認知について検討し、論文化する必要がある。第三に、マクロな経済状況(経済発展や不平等)とナショナリズムの関連について検討する必要がある。第四に、ナショナリズムの中長期的な趨勢について検討する必要がある。
以上の課題を以下のように進めていく方針である。第一の課題に関しては、今年度ウェブサーベイ実験によって得たデータの分析を進める必要がある。予備的な調査の結果や内容については今年度学会発表済みであるため、分析をおこなうことによって発表可能な形になる。第二の課題については、分析をより精緻にしていくことと第一の課題の理論を適応させることが必要であるため、それを進める。第三の課題については、第一の課題と第二の課題を組み合わせて仮説を導出することができる。分析の下準備は終了し、分析を行った。ただし、より妥当な分析手法があるため、そちらを検討する。第四の課題は、分析を進めているところであるが、適切な分析手法を決定するのに時間がかかっていることと明確な依拠すべき理論を検討している。これらを進め、学会発表を第一に行う必要がある。

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 現代日本におけるリベラル・ナショナリズム -潜在クラス分析を用いた実証研究-2020

    • Author(s)
      齋藤僚介
    • Journal Title

      ソシオロジ

      Volume: 198 Pages: 3-21

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 高等教育における専攻分野と価値意識2020

    • Author(s)
      渡辺健太郎・齋藤僚介
    • Journal Title

      ソシオロゴス

      Volume: 44 Pages: 141-155

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] スーパーダイバーシティとその含意2020

    • Author(s)
      スティーブン・バートベック著,齋藤僚介・尾藤央延訳
    • Journal Title

      理論と動態

      Volume: 13 Pages: 68-97

  • [Presentation] 社会学研究における二重過程理論のインパクトと役割の検討ーー動機と正当化モデルとフレーム選択モデルを事例としたレビューを通して2021

    • Author(s)
      尾藤央延・齋藤僚介
    • Organizer
      第70回数理社会学会
  • [Presentation] 経済悪化はなぜナショナル・アイデンティティを高めるのか?ーーサーベイ実験を用いたICMの検証2020

    • Author(s)
      齋藤僚介・尾藤央延
    • Organizer
      第71回関西社会学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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